病気の治療
medical treatment
medical treatment
線維性骨異形成症fibrous dysplasiaは、比較的頻度の高い良性の骨疾患で、名前のとおり線維増殖を伴う骨形成不全です。骨髄腔をvascular fibrocellular tissueが置換してゆくとされています。若い世代10~30歳に多いのですが、50歳代でもみられます一箇所にできる単発性(単骨性)と2箇所以上にできる多発性(多骨性)があり、圧倒的に多いのは単骨性です。一般に成人になると増殖は止まるといわれていますが、そうでない症例も経験しています。原因は不明ですが、細胞内伝達機構のGタンパクという物質が異常を起こし、骨の形成に障害を起こすと考えられています。
M脳神経の圧迫症状から受診する方が多いですが、無症状のままであることも少なくありません。経過が長く、転移やPaget病、骨化性線維腫などと鑑別されます。
診断では、CTにて骨の肥厚とするガラス状の変化(ground-glass所見)が特徴とされます。骨皮質の破壊なく、骨膜反応を認めません。辺縁の硬化を認めない点も重要とされています。MRはT1強調像、T2強調像ともに、肥厚した骨が低~中程度の信号強度を示し、T2強調像では、低信号のなかに等〜高信号が混在します。Gdにて不均一に造影されますが、多彩な像を示すことが多く、診断は容易ではありません。骨シンチではhot spotを呈することから診断は比較的容易である場合と困難を極める場合があります。
筆者は3例経験し骨シンチ、タリウムシンチは全例positiveでGaシンチは2例でpositive、1例でnegativeでした。血管撮影では1例が淡い濃染像で他の2例はnegativeでした。このように個々で違った所見が得られましたが、骨シンチ、タリウムシンチが有用かどうかははっきりしません。
視神経が圧迫されている場合は治療の対象となりますが、一般的には経過を観察します。図1の症例はGaシンチ、タリウムシンチ、骨シンチとも陽性でしたが、血管撮影での濃染像はありませんでした。