徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP 45th

病気の治療

medical treatment

脳神経外科の病気:脳脊髄感染症

微生物が脳実質内に侵入

人間にとってとても大切な中枢神経である脳・脊髄神経は、硬膜という感染に強い組織に覆われていて正常では無菌状態であり、簡単には微生物(ウィルス、細菌、真菌など)が侵入しにくく、常に外的から保護されています。しかし、脳実質内には免疫担当細胞であるリンパ球組織が正常では存在しないため、いったん微生物が侵入してしまうと感染が一気に広まり命が危険にさらされることが多くなります。
疾患名としては、ウィルス性髄膜炎、細菌性髄膜炎、真菌性髄膜炎、結核性髄膜炎、脳炎、脳膿瘍、硬膜下膿瘍、硬膜外膿瘍、細菌性脳動脈瘤、寄生虫感染症(トキソプラズマ、サナダムシ、アメーバなど)、などがあります。身体の他の部位に感染性疾患(副鼻腔炎、中耳炎、齲歯、慢性気管支炎、心弁膜症、椎体椎間板炎、外傷、手術後、針治療後など)、があると、血液、脳脊髄液を介して、あるいは直接、中枢神経系に感染が波及し、頭痛、嘔吐、発熱、けいれん、意識障害が出現、放置すると死に至る疾患であるため早急な診断治療が必要です。

破裂すると高率で死に至る脳膿瘍

脳膿瘍は、脳実質内のどこにでも発生しますが、診断にはCT、MRIが有用であり、造影MRIでは膿瘍被膜が造影され(図1)、MRI-DWIでは高信号域として示されます(図2)。膿瘍の被膜は深部のほうが弱いため、感染が波及すると時に脳室内に破裂してしまうことがあり(図3)、そうなると致死率は39~80%と報告されています。
起炎菌はStreptococcus、Enterococcus、Staphylococcusなどの細菌が多いですが、時にAspergillus、Candidaなどの真菌の場合もあります。

治療としては、まず広域スペクトラムを有する抗生物質投与後、症状改善をみない場合は穿頭ドレナージ術で膿瘍を排出して起炎菌を同定し、その細菌に感受性の高い抗生物質を4~8週間点滴、場合によっては同時に髄液内投与を行って治療します。感染が治癒しても続発性水頭症を合併することが多く、脳室腹腔シャント術が必要となることがしばしばあります。


図1
造影MRI;左前頭葉脳膿瘍、実線矢印;被膜が強く造影されている


図2
MRI-DWI;実線矢印;膿瘍は高信号域として描出されている


図3
CT;右側頭葉脳膿瘍の脳室内穿破
点線矢印;膿瘍被膜、実線矢印;脳室内に穿破した膿瘍

参考文献
1.J Clin Neurosci. 2017 Jan 12. Microbiology and treatment of brain abscess
2.Surg Neurol Int. 2016 Dec 5;7: 947-951. Spontaneous intraventricular rupture of pyogenic brain abscess: A short series of three cases and review of literature.
3.細菌性髄膜炎の治療ガイドライン2014 南江堂

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