徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP 45th

病気の治療

medical treatment

脳神経外科の病気:頚椎後縦靭帯骨化症

東アジアで発生する遺伝的な難病

頚椎は全部で7つあり、いくつかの靭帯によって連結されています。これらの靱帯のなかで椎体の後面で、脊柱管の前面にあって頚椎を縦に連結している靭帯を後縦靱帯といいます。この後縦靭帯が通常の何倍にも厚くなり、骨化して脊髄を前方から圧迫する病気が後縦靭帯骨化症です。この病気は白人や黒人ではめずらしく、東アジアの日本、韓国、中国に多く発生し、遺伝子が関与することがわかっています。いわゆる難病に指定されていますが、日本人成人の頚椎レントゲン撮影では約3%に認められており、決してめずらしい疾患ではありません。無症状で偶然に発見されるか、軽症で診断される方が大半ですが、症状が進行する場合には手術が必要となります。
 片側の肩や腕、手の一部にしびれや痛み、筋力低下などの症状が出現します。さらに両手のしびれや、巧緻性障害(不器用になること)、両足のしびれや運動障害、排尿障害などが出ることもあります。

頚椎を支える筋肉強化運動も有効

しびれや疼痛などの症状があっても生活への支障が軽い場合は、症状が改善するかどうか経過観察を行います。痛みがある場合には消炎鎮痛剤を使用し、しびれがある場合にはビタミンB12製剤を使用することもあります。頚椎カラーを用いて頚部の安静を図ることもあります。
数カ月の保存的療法を行っても症状が改善しない場合や、日常生活に支障が出るような筋力低下、強い痛み、歩行障害、排尿障害などが出た場合は手術による神経の減圧を行います。手術法としては、頚部の前方から行う方法が一般的です。

頚椎前方除圧固定術、骨化浮遊術

全身麻酔下で、頚部の前面に皮膚切開を行い、頚動脈と食道の間を剥離して頚椎の前面に到達し、顕微鏡を用いて丁寧に頚椎の一部を削って脊髄前面に到達し、脊髄を圧迫する骨化靭帯を摘出します。脊髄を包む硬膜も骨化している場合は骨化靭帯の周囲を削って浮遊させることで脊髄の圧迫を軽減します。その後、頚椎にできた空間に骨盤の骨(もしくはチタン製の人工骨)を移植し、創部を縫合して終了します。手術時間は4~6時間で、手術翌日から食事を開始し、歩行訓練を行います。術後7~10日で退院可能ですが、移植した骨がずれないようにカラーを数週から数カ月装着する必要があります。脊髄を圧迫する病変を摘出することができますが、病変の範囲が比較的狭い2~3椎間までが限界です。

頚椎椎弓形成術

全身麻酔下に腹臥位として頚部の後面に6~8㎝の皮膚切開を行い、頚椎の後方の骨(椎弓)を露出します。顕微鏡下に椎弓の片側に溝を作成し、反対側を切断します。その後、椎弓を持ち上げて脊柱管を後方へ拡大し、持ち上げた椎弓がもとに戻らないようにセラミックなどの人工骨を挟んで固定します。このように脊柱管を後方から拡大して脊髄の圧迫を解除する方法を椎弓形成術といいます。手術時間は2~3時間で、手術翌日から食事と歩行訓練を開始します。術後7~10日で退院可能で、カラー固定は1週間ほどで済みます。脊髄を圧迫する病変を摘出することはできませんが、椎間数が多くても手術可能です。

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