病気の治療
medical treatment
medical treatment
人間にとってとても大切な中枢神経である脳・脊髄神経は、頭蓋内で1日約450ml産生される脳脊髄液の中に浮かんだ状態で存在しており、他臓器と違い強い衝撃が加わっても障害を受けにくくなっています。この脳脊髄液は主に脳室内に貯留されており、この脳室が大きくなるのが水頭症です。
水頭症の原因として、
があり、小児でも成人でも発症する病気です。水頭症の分類として、①先天性(奇形、母体内感染、など)、②後天性・続発性(頭蓋内出血、重症頭部外傷、脳脊髄膜炎、脳腫瘍など)があり、後天性・続発性水頭症はどの年代でも発症します。
水頭症は、小児では脳室が拡大すると頭蓋内圧が亢進し、成長とともに頭囲が拡大していき、頭痛、嘔吐、意識障害で見つかる場合が多いのですが、成人の場合は、頭蓋内圧は亢進せず正常圧でゆっくり脳組織を圧迫するために(図1)、認知障害、歩行障害、尿失禁で見つかる場合がよくあり、なかでも治る認知症として特発性正常圧水頭症という疾患が近年、注目されています(特発性正常圧水頭症ガイドライン参照)。
診断には画像検査としてMRI、CTが有用であり、DESHサイン(図2、SINPHONI))が特発性正常圧水頭症に特徴的です。アルツハイマー病と間違えやすい特発性正常圧水頭症の場合は、髄液排除試験(図3)が有用です。
治療としては、
があり、どれも小さな皮膚切開で約1時間の手術であり、症状改善が期待できます。
図2 DESH Disproportionately Enlarged Subarachnoid -space Hydrocephalus
①脳室Evans index>0.3、②高位円蓋部および正中部のくも膜下腔の狭小化③シルビウス裂の開大、④局所的な脳溝の拡大
図3 髄液排除試験;外来で行います(約15分)。
局所麻酔で約30ml髄液排除します