徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

病気の治療

medical treatment

小児科の病気:鼠径ヘルニア、陰嚢水腫・ヌック水腫、臍ヘルニア

子どもの外科手術で一番多い鼠経ヘルニア

鼠径ヘルニアは、腸や女児であれば卵巣や卵管などのおなかの中にある臓器が飛び出してきて鼠径部が腫れてくる病気で、俗に脱腸と言われています(写真1)。

鼠経ヘルニア

子どもの外科手術では一番多い病気で、発生率は1〜5%とされています。原因は先天的に腹膜鞘状突起という腹膜の出っ張りが鼠径部に残っていることにあり、右にも左にも認めることがあるほか、両側に出ることもあります。片方を手術した場合、5〜6%の頻度で反対側に出ることがあるといわれています。

鼠径ヘルニアで手術が必要な理由は、飛び出した臓器(腸など)が狭い場所で締めつけられ、組織の血流が悪くなることがあり、これを嵌頓(かんとん)といいます。この状態になると痛みのため子どもは不機嫌になります。このようなときは、あわてず抱っこなどして泣かさないようにすると自然に戻ることもあります。1時間経過しても戻らない場合はすぐに主治医に連絡してください。

鼠径ヘルニアは1歳までに約30%に自然治癒があったとする報告がありますが、手術時期は施設によって異なります。ただし、嵌頓がいったん生じれば、繰り返すこともあり、できるだけ早急な手術が必要です。手術は、日帰り手術を行っている施設もあり、簡単な手術のように考えられがちですが、特に1歳未満の乳児の手術は小児専門施設での治療が望ましいと思います。

水が陰嚢や鼠径部にたまる陰嚢水腫とヌック水腫

陰嚢水腫およびヌック水腫は鼠径ヘルニアの親戚のような病気で、腸などの臓器ではなく、水が男児では陰嚢に、女児では鼠径部にたまります。男児では陰嚢水腫といい、女児ではヌック水腫といいます。

診断は、懐中電灯などの光が通過する(透光性)ことなどで判断しますが、超音波検査も有用です。一般に2歳までに自然治癒することがあるといわれています。以前は針を刺して水を抜く場合もありましたが、再発することが多く、最近はほとんどしません。1日のうちで大きさが変化する場合はおなかとの交通が大きく、鼠径ヘルニアに移行する可能性があるといわれています。そのようなケースは手術が必要と思われますが、それ以外は、手術をしなくてもなんら問題はなく、美容上の問題のみです。しかし、最近いじめの対象になることがあり、手術を勧めることもあります。手術は鼠径ヘルニアとほぼ同じで、日帰り手術をしている施設もあります。

“でべそ”臍ヘルニアは1歳までに9割が自然治癒

臍ヘルニアは、俗にいうでべそです(写真2)。生後まもない時期はまだへその真下の筋肉が完全に閉じていないために、泣いたり息んだりしておなかに力が加わるとその隙間から腸がとびだしてきてでべその状態になります。このヘルニアは5〜10人に1人の割合でみられ、生後3カ月ころまで大きくなりますが、その後は徐々に小さくなり、1歳までに約90%が自然治癒するといわれています。最近は、綿球などで圧迫する臍圧迫療法を施行している施設もあり、治る時期がやや早まったり、きれいに治ることがあります。

臍ヘルニアは、鼠径ヘルニアと違い、小児期に嵌頓することはありませんが、成人になると嵌頓することがあります。そのため、1歳を過ぎても自然治癒がない場合は、手術が必要な場合がありますので、医療機関を受診してください。また、ヘルニアは治っても皮膚が余ってしまって臍がとびだしたままになっている場合は、将来的にいじめの対象になることもあり、その場合もご相談ください。手術は鼠径ヘルニアと同様で日帰り手術をしている施設もあります。

臍ヘルニア

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