徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

病気の治療

medical treatment

小児科の病気:先天性食道閉鎖症

上下の食道をつなげる手術が必要

生まれつき食道が途中で途切れている病気で、約5,000人に1人の割合で発生し、ミルクが飲めない状態です。食道と気管との間につながり(瘻孔と言います)があることが多く、図のようにそのつながり方によって、A型からE型まで5つの型に分類されています。

Gross分解 A型 B型 C型 D型 E型
(H-type)
日本(角田)
1,097例
122
(11%)
8
 
939
(85%)
8
 
20
 
米国(Holder)
1,058例
82
(8%)
9
 
916
(87%)
7
 
44
 

図 先天性食道閉鎖症の分類

一番多いのは下側の食道が気管につながっているC型で、8割以上がこの型です。気管とのつながりがないA型は全体の約2割を占め、上下の食道の間が長い場合が多く治療が長期間にわたることがしばしばです。B型、D型、E型は非常に稀です。

いずれの型でも手術が必要で、気管との瘻孔を閉じて、上下の食道どうしをつなぐのが基本的な方法です。しかし、上下の食道の距離が長い場合は一度につなげないことが多く、胃瘻といって胃に穴を開けてそこにチューブを入れてそこからミルクを入れます。その後、さまざまな補助的な手術を追加して、何回かに分けて手術を行う必要があります。

気管軟化症や胃食道逆流症の合併にも注意

術後の合併症としては、つないだ食道どうしがうまくつながらなかったり(縫合不全といいます)、気管と食道の間に瘻孔が再開通したり、つないだところが狭くなったりすること(狭窄)があります。狭窄の場合は風船を使って狭いところを広げることで対処でき、縫合不全も大半は保存的に治りますが、瘻孔の再開通に対しては、再手術が必要です。さらに術後しばらくして起こる合併症として、気管が弱くなってしまい息を吸うときに気管がつぶれてしまう気管軟化症という病気や、胃から食道に逆流が起こる胃食道逆流症という病気があります。気管軟化症は経過観察のみでよくなるものもありますが、手術が必要になる場合もあります。胃食道逆流症は内服薬でよくなるものもありますが、程度が強い場合は逆流を防止する手術が必要になります。

先天性食道閉鎖症については、昔は生命を助けるため大変な管理が必要でしたが、現在は全身麻酔の進歩もあり、85%が助かるようになりました。残りの15%は、重症の心大血管奇形を合併している症例がほとんどで、その心疾患が原因で亡くなっています。

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