徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP 45th

病気の治療

medical treatment

熱性けいれん

熱性けいれんとは

熱性けいれんは、6カ月~5歳ころの子どもが急な発熱に伴って意識障害、けいれんを引き起こす病気です。通常38℃以上の発熱時で急激に体温が変化するときに起こり、半数近くが繰り返しますが、成長に伴い6歳前後でほとんど起こさなくなり経過は良好です。日本では小児のおよそ8%、西欧では3%くらいにみられます。一部3~5%がてんかんに移行するといわれます。

原因には遺伝的な要因も

発育途上の幼弱な脳神経細胞が急な体温の変化に弱いために起こります。通常38℃以上の発熱時に、意識障害やけいれんを起こします。けいれんを起こす他の病気がないことが条件になります。遺伝的な要因もあり両親に熱性けいれんがあると2~3倍頻度が多くなるといわれます。また男児にやや多いようです。発熱の原因としては突発性発疹、夏かぜ、インフルエンザなど急に高熱を出す疾患で多いようですが、高熱をきたす疾患はすべてけいれんのきっかけになります。

症状や起こり方はさまざま

発熱の初期に起こることが多く、けいれんにより発熱に気づくこともあります。基本的な症状は意識がなくなり、けいれんを起こすことです。俗に“ひきつけ”と呼ばれるものですが、タイプがあります。

急に手足をかたくして突っ張る(強直性けいれん)、手足をぴくぴくさせる(間代性けいれん)、初めはかたく次第にぴくぴくする(強直・間代性けいれん)などがあり、体全体に起こったり、半身とか四肢の一部に起こったりします。また手足に力は入らずにダラーとして意識だけがなくなることもあります。

このような“ひきつけ”のとき、目は見開いて虚空を見つめ焦点が合わなかったり、左右に偏っていたりします。また呼吸は不十分なため全身の色が悪くなり(チアノーゼ)、嘔吐・失禁を伴ったりすることもあります。

けいれんは通常2~3分で収まりますが、20~30分と長く続くこともあります(けいれん重積症)。収まった後、ボーとする時期がありますが意識は元に戻ってきます。

症状や起こり方が多様なため熱性けいれんは2つのタイプ、すなわち「単純型熱性けいれん」と「複雑型熱性けいれん」に分けられます。単純型は発熱後24時間以内に起こって、全身性のけいれんであり、数分で収まり、繰り返したりしないタイプです。

複雑型は次の条件は

3項目のうち1つでもあてはまるときは複雑型です。単純型は熱性けいれんのおよそ8割、複雑型は2割程度です。両者は治療や経過が違ってきます。複雑型やけいれん重積症では、けいれんの治療や他の疾患との区別のために入院が必要になることが多くなります。

検査では発熱の原因を究明

熱性けいれんは発熱に伴う付随的な症状です。まず発熱の原因検索が必要です。一方、病気そのものが発熱、けいれん、意識障害をきたす疾患は多数あり、これらと区別するため検査が必要になります。

例えば、髄膜炎、脳炎はけいれんや意識障害が起こりますし、低血糖症、低Ca血症、先天性代謝異常症、循環器疾患なども同じくけいれん、意識障害を起こします。このため血液検査、髄液検査、CT、MRI、心電図などの検査が必要になります。脳波検査はてんかんと区別するためにも重要な検査です。てんかんは熱がなくても起こり、発作波と呼ばれる脳波での異常がみられることが多く、抗てんかん剤での治療が必要です。

予防にはジアゼパム座薬が有効

けいれん時の対応が主な治療です。けいれん中や意識がないときは体や顔を横向きにして唾液、吐物などを誤嚥しないような体位にしてください。通常は数分でけいれんは自然に収まり、元に戻ります。複雑型のように、繰り返したり、長く続いたり(5~10分以上)、意識がなかなか回復しないときは救急車での受診が必要です。

けいれんが収まり意識も回復していれば、あわてて受診する必要はありません。病院では抗けいれん剤と呼ばれる薬を注射したり、座薬や点鼻薬でけいれんをとめます。必要に応じて酸素吸入や点滴をしたり、解熱剤を使ったりもします。舌をかむことはまずありませんので口腔内に物をかませたりする必要はありません。無理にすると歯が折れたり、逆に喉の奥に吐物などが押し込まれる原因になりますので危険です。

けいれんの予防として近年、ジアゼパムという座薬が使われます。発熱の早期(37.5~38℃以上で使用)に使用するとけいれんが予防できることが示されています。複雑型熱性けいれんや、保護者の不安が強いとき、医療アクセスの悪い地域では適応になると思います。なお、発熱時に解熱剤を使用することはけいれんの予防にはつながりません。

近年、予防接種の機会が増えていますが、接種後に発熱することもあり、熱性けいれんの既往のあるときは、ジアゼパム座薬を準備して接種することも行われています。

稀にてんかんへ移行することも

熱性けいれんは予後が良好です。年齢とともに再発率は下がり、起こりにくくなります。小学校に入学するころにはほとんどなくなりますが、時に8~9歳になっても起こすことがあります。熱性けいれんから将来3~5%がてんかんに移行するといわれていることから、てんかんへの移行が考えられ、脳波検査や抗てんかん剤の内服治療が必要になることがあります。特に複雑型熱性けいれん、家族に無熱性けいれんがあるとき、1歳未満での初発のときにはてんかんへの移行率が高くなります。したがってこれらに該当する場合は脳波検査を行うことが多くなります。

熱性けいれんは経過が良い病気です。初めての場合、保護者は驚き、うろたえ、あわてることが多いですが、沈着冷静に対応し必要時に救急受診しましょう。

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