徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2026年(令和8年)03月23日 月曜日 徳洲新聞 NO.1535 1面

日鋼記念病院
「リニアック」連続稼働3000日
より精度の高い放射線治療を提供

日鋼記念病院(北海道)は放射線治療装置(リニアック)「TrueBeam」の連続稼働3,000日を達成し、製造・販売元のバリアンメディカルシステムズから表彰された。徳洲会グループでは最長の記録だ。2017年8月29日の稼働記録開始以来、一度も治療を止めることなく運用を続け、25年11月10日に3,000日に達した。単にメンテナンスを正確に行うだけでなく、より精度の高い治療を患者さんに提供するため、医師や診療放射線技師らによる強固な協力体制が連続稼働を強力に支えた。

「3,000日連続治療」の盾を手にする中田課長 機器メーカー担当者と綿密にやり取りしメンテナンスを徹底 天井にスカイシーリングを設置しリラックスできる環境を整備

リニアックは、がん細胞に対しミリ単位の精度で放射線を照射するきわめて精密な医療機器。放射線治療では、装置の故障により予定外の休止が発生した場合、予約している多くの患者さんの治療スケジュールが崩れるだけでなく、がんの増殖を許すなど治療成績に悪影響を及ぼす可能性もある。

富田雅義・放射線科主任科長は、今回の連続稼働について「休止を回避するべく、当科の診療放射線技師によるチームが、日々の確認作業に加え、機器メーカー担当者と綿密なやり取りを行っており、本当に感謝しています」と献身的な姿勢を評価。中田明宏・放射線科治療グループ課長兼放射線治療品質管理室課長(医学物理士)も「よく治療を止めずに、ここまで来られたと思います」と感慨深く振り返る。

この安定稼働を支えているのは、同院が独自に構築した点検体制だ。始業前点検、週単位、月単位、年単位の定期点検に加え、医学物理士の視点から厳格な品質管理を実施。

中田課長は「小さな異変をいかに早く見つけるかが大切」と強調し、点検中にわずかでも数値に違和感があれば、治療後の隙間時間などを利用して即座に再測定、スタッフとの情報共有を行う。こうした「異変を見逃さない目」が決定的な故障を未然に防ぐと同時に、治療の質を担保してきた。

具体的には、ラッツテストと呼ばれる照射中心(アイソセンター)の精度を確認するための品質管理テストや、照射野の幾何学的精度を確認するフェンステストといった専門的な検証を毎週欠かさず実施。

とくに、アイソセンターのズレは0.75mm未満の精度で管理。ガントリ(回転部)の自重によるわずかなゆがみも計算に入れ、つねに最適な照射ができるよう数値を監視し、精度を維持し続けている。中田課長は「メーカーのスペック内に収まれば良いという考えではなく、自院の基準で、それ以上の精度を求めています」と語気を強める。

現在、同科では中田課長の下、志の高い若手技師たちが育ち、チーム全体で高度な管理体制を継承。中田課長は「私だけでなく、技師全員が同じ熱量で装置と向き合っています」とチームの団結力に胸を張る。今後は連続稼働3,500日、4,000日に挑戦し、地域のがん患者さんが安心して放射線治療を受けられる「最後の砦」としての信頼を、さらに確固たるものにしていく。

一人ひとりの背景考慮し治療 患者さんの心理的負担軽減も

こうしたメンテナンスの行き届いたリニアックを用いる同院の放射線治療に関し、富田・主任科長は「インフォームドコンセント(説明と同意)に力を入れ、治療自体について十分に理解してもらえるよう努めています」と、患者さんとの対話を重視する姿勢を強調。

治療の目的についても、「局所的な病変制御が一番の目的ですが、それが難しい場合でも、少しでも進行抑制や症状の緩和を目指し、意義あるものにしたいと考えています。また、有害事象を完全にゼロにすることはできませんが、極力、容認範囲となるよう最大限の工夫を行っています」と力を込める。

患者さんの心理的負担を軽減する環境整備も徹底している。治療室の壁の色を温かみのある黄色に変更し、天井には青空が描かれたスカイシーリングを設置。さらに、機械室と治療室の空調を分離し、精密機器には適切な冷却を、患者さんには心地よい室温を保つという細やかな配慮を行っている。

同院では現在、前立腺がんや頭頸部がんを中心に、泌尿器科や耳鼻咽喉科、歯科口腔外科と密に連携した放射線治療を実施。富田・主任科長と中田課長は「丁寧な治療を心がけており、患者さん一人ひとりの背景まで考慮してプランを立てています。地域の方々から、当院に来れば質の高い放射線治療が受けられると思ってもらえるよう、頑張ります」と、さらなる医療の質向上を目指す。

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