2019年(平成31年)4月15日 月曜日 徳洲新聞 NO.1180 三面
栗原・一般社団法人是真会理事長
生活につなげる医療を
救急とリハビリのあり方示唆
徳洲会グループ3月度医療経営戦略セミナーが3月30日から2日間開かれ、初日に外部講師として一般社団法人是真会長崎リハビリテーション病院の栗原正紀理事長が講演した。テーマは「地域包括ケア時代、地域を支える救急医療とリハビリテーション医療」。自院(143床)の取り組みを交え、高齢者が増えた現在、とくに救急医療とリハビリテーション医療に「生活の視点」を取り入れることが地域医療を支えると強調した。
ユーモアを交え講演する栗原理事長
冒頭、栗原理事長は地域医療に関する認識として「重要な役割を担う救急医療を支えるのはリハビリテーション医療」と指摘。かつては両者に距離があったが、介護保険制度の開始や回復期リハビリテーション病棟の誕生、平均在院日数の短縮化などで2000年以降は距離が縮まっているとした。背景に“人口構造の変化”を挙げ、高齢者の増加を指摘。今後、地域医療に機能分化・連携が求められるなかで、とくに重要な視点として「生活」を挙げた。
その理由を「高齢者医療」の現状を引き合いに解説。近年、高齢化にともない高齢者の救急搬送が増加しているが、原因疾患に対する臓器別専門治療が主で、廃用や低栄養、合併症、慢性疾患(多病性)、さらに生活再建などへの対策が欠如しているため、入院期間の長期化で寝たきりになる傾向を示した。
高度の臓器別治療を生活につなげるには、あらためて医療機関や病床の機能分化・連携とともに、「医師・看護師の許容量をはるかに超えた医療が求められている」として、多職種によるチーム医療の必要性を強調した。
機能分化と連携では急性期(救急病院)、回復期(回復期リハビリ病棟、地域包括ケア病棟)、慢性期(在宅・施設)が連携し、急性期は生活の準備、回復期は生活の再建、慢性期は生活の維持・向上の視点で、それぞれ適切な栄養管理(口腔(こうくう)ケア含む)やリハビリを実施。チーム医療では看護をチームの基盤としつつ、急性期、回復期、慢性期それぞれで理想のチーム像や看護の視点の違いなどを説いた。
このあと、リハビリの流れを説明。急性期や急性期以降のリハビリのポイントを示した。
具体例として自院の取り組みも紹介。3つの回復期リハビリ病棟を構え、各病棟に医師2人、MSW(医療相談員)2人、院内に管理栄養士と歯科衛生士を4人ずつ配置していることや、「入院生活全体がリハビリ」という考え方の下、いすやカウンターなど院内のさまざまな設備に配慮しているほか、文字の大きな時計とカレンダーを配備したり、温かい食事を提供するために各病棟にパントリーを設置したりするなど、生活につなげるための工夫を紹介した。
また、「白衣が病人をつくる」とのスタンスで職員は白衣を着用しない取り組みも披露。「白衣の前では患者さんになってしまいます。生活を再建し自宅に戻っていただくために固定概念を排除しようと考えました」。長崎市歯科医師会と連携し、口腔ケアに力を注いでいることも示した。
組織図も提示。医局、看護部、薬剤部など職種ごとの縦割りではなく、「臨床部」に各専門職が属する形でチーム医療が展開しやすい体制づくりもアピールした。
最後に、地域密着の重要性を強調。行政や地域住民の方などとの協力でさまざまな研究会を開き独居の方などを孤立させないようにしたり、長崎県の離島の患者さんの下にも訪問したりしている様子を紹介した。
地域に在宅支援リハビリセンター(仮称)と在宅療養支援センター(仮称)を設置する構想も明かし、リハビリセンターは17年に「長崎市在宅支援リハビリセンター事業」としてスタートしたことを報告した。