徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

病気の治療

medical treatment

肝臓・膵臓内科の病気:B型慢性肝炎・肝硬変

母子感染と性的感染が原因のほとんど

B型肝炎・肝硬変は、B型肝炎ウイルスというウイルスが感染することによって発生 します。感染ルート(感染源)としては、①B型肝炎ウイルスに感染した母親から子どもへの感染(母子感染)、②感染対策が不完全な時代の幼少児に対する集団予防接種などの医療行為、③B型肝炎ウイルス感染者との性的接触が挙げられます。 しかし、最も多かった感染経路①は1986年から始められた母子感染予防対策事業(出生時のHBワクチン接種等)でほぼなくなり、近年新たに感染する原因のほとんどはB型肝炎ウイルス感染者との性的接触によるものです。とはいえ性的接触で感染した場合は大半が一過性で改善しますので、現在B型慢性肝炎・肝硬変で治療を受けられている方の大部分は母子感染あるいは医療行為による感染が原因です。

高い確率で肝硬変、肝臓がんへと推移

B型肝炎ウイルスは幼少期に感染すると一生涯にわたって体内に感染しつづけます(B 型肝炎ウイルス持続感染者=HBキャリア)。B型肝炎ウイルスに感染しても成人になるころまではめったに肝炎を発症しませんが、その後HBキャリアの10~20%は肝炎を発症し、20~30 年間かけて慢性肝炎、肝硬変へと進展し、また高率で肝臓がんが発生 します。一方、生涯にわたって肝炎を発症せずに経過する方もいます。 B型肝炎ウイルスに感染し肝炎を発症した場合には、B型肝炎ウイルスの増殖を極力抑える治療を行い慢性肝炎、肝硬変への進展阻止や肝がん発がん予防を行う必要があります。最近、B型肝炎ウイルス感染に気づかず肝炎を発症していない方が、免疫を抑える治療や抗がん剤治療を受けることによって重篤なB型肝炎を発症する場合があることが わかっています(B型肝炎ウイルス再活性化)。これらの治療を受ける際には B型肝炎ウイルスに感染していないか詳しく調べる必要があります。

症状が出ることはほとんどない

黄疸などの肝機能障害に伴う症状が出現することがありますが、たとえ肝炎(肝機能障害)を発症していても症状が全く出ない場合のほうが多く感染に気づくことはないといっていいでしょう。

家族に肝臓病の人がいたら注意

B型肝炎ウイルス感染に気づくポイントは2つあります。まず1つ目は、感染源の多くが母子感染であることから家族内に肝臓病の人がいるかどうかという点です。兄弟姉妹や親類に肝臓病の方がいる場合は血液検査を受けることをお勧めします。2つ目のポイントは血液検査でわかるAST、ALT 等の肝機能障害です。肝機能障害がある場合は、まずHBs抗原を測定し、さらにB型肝炎ウイルスマーカー(HBs 抗体、HBe 抗原・抗体、HBc抗体、B型肝炎ウイルス量等)を測定します。これらの検査結果を用いて総合的に診断します。

抗ウイルス剤内服継続で肝硬変・肝がんを回避へ

C型肝炎ウイルスのように体内から完全に排除し肝硬変や肝臓がんにならないようにする治療法はありません。B型肝炎の場合は核酸アナログ製剤という内服薬でウイルスの増殖を極力抑える治療法があります。ウイルスの増殖を極力抑えることによって慢性肝炎、肝硬変への進展阻止が可能です。また肝がんの発症予防も期待できます。この薬剤による副作用はほとんどありませんが、ウイルス増殖抑制のみであることや内服中止にて重篤な肝炎を生じることがあることから、ほぼ生涯飲み続けなければなりません。

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