病気の治療
medical treatment
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尿酸は膀胱結石の中から発見された物質です。その後、尿酸は生物の情報とエネルギーという重要な役割を果たす物質の最終産物であることがわかりました。つまり遺伝子を構成するDNA、エネルギーを担当するATPが分解されると尿酸ができます。尿酸は人体の情報やエネルギーを受け持つ物質が分解されてできた老廃物なのです。体内でつくられる尿酸のうち、約8割は腎臓から尿中に溶解した状態で排泄されますが、この排泄が障害される状態、もしくは何らかの原因で尿酸が過剰に生成されるために排泄が追いつかない状態、あるいはその両方が起こると血液中に尿酸が増えてきます。こうして血液中の尿酸が正常値を超えて高くなった状態が高尿酸血症です。
日本痛風・核酸代謝学会による2012年改訂の治療ガイドライン1)によりますと、高尿酸血症は尿酸沈着症(痛風関節炎、腎障害など)の病因であり、血清尿酸値が尿酸の血液中に溶解可能な最大濃度である7.0mg/dlを正常上限とし、これを超えるものを高尿酸血症と定義し、性・年齢を問わないとしています。
症状としては、アルコールやストレスなどが引き金となって痛風発作が生じる場合があります。発作時には手足の関節が赤くはれて、熱感を伴う激しい痛みが起こります。痛みは概ね24時間でピークに達し、1〜2週間で自然になくなっていきます。 このような時期に十分治療が行われずに病状が進行すると、関節の周囲などに尿酸塩の結晶が出てきてこぶのように腫れてきます。これは痛風結節と呼ばれます。特に足の親指のつけ根の関節や、その他の手足の関節、耳の軟骨、腱、皮下などにも結節が現れます。また尿酸塩が腎臓の髄質にたまると腎機能障害を起こし、痛風腎を招きます。
尿酸塩を中心とする尿路結石ができやすくなることも、特徴の一つです。 さらに高尿酸血症・痛風は虚血性心疾患(狭心症)、心筋梗塞の危険因子の一つです。脂質異常症や糖尿病、肥満、高血圧などを合併することも多く、その結果、脳血管障害、心臓病を併発してくることも少なくありません。したがって高尿酸血症の抑制は生命予後の観点から極めて重要なのです。
日常生活ではプリン体の多い食事、大食、飲酒を避けることが重要です。肥満、ストレス、激しい運動も尿酸を増加させる要因です。また利尿剤等の薬剤による尿酸値の上昇にも注意が必要です。尿酸排泄を促進するために水分をたっぷりとること、尿をアルカリ化する目的で藻類、きのこ類、大豆野菜類を積極的にとることもお勧めです。
食生活の見直しでの尿酸値が下がらない、あるいはすでに痛風発作を起こしたことがある場合、尿酸値8.0mg/dl以上ですでに腎障害、結石、高血圧などの合併症のある場合、無症状であっても尿酸値が9.0mg/dl以上の場合は、薬物療法の適応になります。内服薬は尿酸排泄促進剤と尿酸生成抑制剤に大別されます。