徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP 45th

病気の治療

medical treatment

血液造血器の病気:易出血性疾患と抜歯後の止血困難

一次・二次止血いずれかの過程の異常で発生

ここでは抜歯後の出血(止血困難)を例にとって、止血の問題を考えてみます。止血の機序には一次止血(外傷などにより血管が破綻して出血が起きると血管内皮細胞の下にあるコラゲン繊維が露出し、そこに速やかに血小板が付着、さらに活性化した血小板から生理活性物質が放出され、血小板同士の凝集により血小板血栓が形成される)と、二次止血(この血小板血栓にさらに凝固系が作用してフィブリンを形成し、凝血塊となる。その後に線溶系という過程がある)が関与します。この過程のいずれのステップに異常があっても易出血性、止血困難となります。

原因は血小板数やフィブリノゲン量の減少など

一次止血に関与する因子の異常には、以下のものがあります。

血小板数減少、機能異常
血小板はCD42b(GPIb)を介してフォンウイルブランド因子(vWF)に結合し、血管内皮のコラゲン受容体に付着します。また、CD41/CD61(GPIIb/IIIa)を介してフィブリノゲンと結合し、血小板同士が凝集します。したがって、血小板数減少、機能異常症である血小板無力症、などでは止血困難となります。二次止血には凝固系が必要なので、凝固系に異常があっても止血困難となります(図1)。
フィブリノゲン量減少、機能異常
上記の機序からして、フィブリノゲンが著減する、あるいは機能異常のフィブリノゲンでは止血困難となります。
(vWF)減少
vWFの活性低下、抗原量低下による疾患はフォンウイルブランド病(vWD)と呼ばれます。

一方、二次止血に関与する因子の異常には、凝固因子欠乏、特に第8因子(血友病A;先天性と後天性がある)、第9因子(血友病B;先天性と後天性がある)の欠乏が挙げられます。また、肝硬変時の全般的な凝固因子欠乏も関係しています。

これらすべての原因を抜歯後の止血困難例では考える必要があります(表1)

術後止血困難例には早急な対応要する

症状は、鼻出血、口腔内出血、過多月経、皮下出血斑、関節内出血、術後出血などがしばしばみられます。抜歯後の止血困難例は典型例といえます。

経過は、各種因子欠乏の程度により、軽症であれば見過ごされていることもありますが、術後止血困難で診断される例などでは早急な対処を要することが多いです。

易出血性疾患の検査と診断

診断のための主な検査は以下のとおりです。

APTT延長時には第8因子、第9因子とそれぞれのインヒビターを調べます。後天性血友病のスクリーニングにはクロスミキシングテストがあります。vWFについては活性、抗原量、multimerの構造を調べます。また、肝硬変の有無を鑑別します。

PT延長時には第7因子活性を調べます。ビタミンK欠乏、肝硬変の有無、ワーファリン服用中でないかも確認します。

ただし、PT正常、APTT延長で明らかな出血症状を認めない場合にはループスアンチコアグラントの関与や第12因子欠乏症があることを考慮に入れる必要があります。

先天性重症血友病には凝固因子を補充

とりあえずの止血にはDDAVP(vWDにも軽症血友病にも有効です)、トラミンサミン、要すればHLA-match-血小板輸注が適応となります。HLA-match-血小板輸注は血小板機能異常による出血をカバーできます。先天性重症血友病の出血には凝固因子の補充、後天性血友病にはノボセブン、血小板輸注が無効の血小板機能異常症にもノボセブンが適応になります。後天性血友病では止血後に免疫抑制剤によるインヒビターの根絶が必要になります。

図1 出血時の一次止血に果たす血小板、フィブリノゲン、vWFの役割と二次止血における凝固因子の役割

表1 抜歯後の止血困難に対する検査と治療―フォンヴィルブランド病(vWD)
および血友病A/B(HA, HB)には先天性(C;congenital)と後天性(A;acquired)がある

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