徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

病気の治療

medical treatment

血液造血器の病気:血液疾患における末梢血と骨髄の検査

ここでは血液疾患における末梢血検査と骨髄検査について説明します。

目視が大切な末梢血検査

CBC(RBC、Hb、 Ht、WBC、血小板数)の検査では、血算のみでなく末梢血スメアを引く、スメアを目視で読むことの大切さがあります。

好中球形態の異常
骨髄異形成症候群(MDS)では低分葉核異常である偽ペルゲル核異常を示す好中球、環状核好中球や胞体に脱顆粒の好中球、ビタミンB12欠乏巨赤芽球性貧血では過分葉好中球がみられます。WHIM (Warts, hypo-gammaglobulinemia, infections, and myelokathexis syndrome)症候群では、過成熟好中球(長く弦のような線維でつながった濃縮された核と空胞のある細胞質形態が特徴)が、MYH9異常症の一つであるMay-Hegglin病では好中球胞体内封入体が見られます。Chediak-Higashi Syndrome(CHS)では、好中球の胞体内に巨大顆粒を有します。
血小板のサイズ
血小板数の多寡はスメア観察でも十分類推できますが、血小板減少症の項でも述べたように血小板のサイズにも注意を払います。遺伝性血小板機能異常症には血小板数減少を伴うものと伴わないものがありますが、特に、MYH9異常症(May-Hegglin症候群、Epstein症候群など)では血小板のサイズが正常よりも大きな巨大血小板性血小板減少症を特徴としています。一方、Wiskott Aldrich syndrome (WAS)では血小板減少に加えて血小板のサイズが小さいのが特徴です。

骨髄検査は腸骨からの施行を推奨

骨髄検査は多くの血液疾患で必要です。通常は骨髄穿刺を行いますが、生検を必要とする場合も少なくありません。骨髄穿刺(生検)は現在、胸骨ではなく腸骨から施行することが勧められています。骨髄穿刺ではスメアの観察にとどまらず、穿刺液をFlowcytometry検査や、染色体検査、またクロット(clot)標本の作製に呈する習慣をつけておくことが大事です。クロット標本の病理検査は骨髄スメアの観察の補足になります。クロット標本の病理組織切片は要時、免疫染色やEBウイルス感染症を調べるEBER-ISH検査などに利用できます。スメアの観察のみで得られる情報は決して多くなく、1回の検査で得られた試料を最大限に活用して、これらすべての情報を総合評価して最終診断します。同じことはリンパ節生検を施行する際にもいえることです(図3)。

図1 過粘度症候群におけるrouleaux formation

図2 球状赤血球症(A)、楕円赤血球症(B)、有口赤血球症(C)

図3 骨髄検査、リンパ節生検時の検査の手順

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