徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP 45th

病気の治療

medical treatment

腎臓の病気:血液透析と腹膜透析
(合併症含む)

腎臓の代わりに血液浄化

「透析」と聞くと何か難しいもののように感じるかもしれません。「血液浄化」だとどうでしょう? 家の蛇口から出てくる水道用水は、集めた水を「浄水場」できれいにし、飲食に使える水にしていますね(図1)。体の中では頭のてっぺんから手足の先まで常に血液が循環していますが、その血液を浄水場のようにきれいにする治療のことを「血液浄化」といいます。どのようにきれいにするかは、かかった病気により違いますが、「血液浄化」治療のなかで主として尿毒素(図2)をとり除く治療のことを透析といいます(→図3)。

人間は生活活動を通して常に体内に尿毒素が貯留します。腎臓は休みなく働いて尿毒素を尿に排泄しますが、腎機能が悪くなると体内に貯留します。つまり、腎機能が悪くなることで出てきたむくみ、カリウムやリンの蓄積、尿毒素による吐き気や不眠など腎不全に対する血液浄化による治療、腎臓の代わりをする治療が透析ということになります。

血液透析と腹膜透析の違い

図4 腹膜透析:おなかに留置したカテーテルを用いて自宅で透析します

透析には週3回通院して行う血液透析、毎日自宅で行う腹膜透析(月1回の通院が必要)(図4)の2種類があり、生活活動を維持するため頻回の透析が必要です。血液透析は名の通り血液を直接透析する治療で、確実で素早く尿毒素をとり除くことができます。即効性はありますが血圧が不安定になります。

腹膜透析は自分のおなかにある腹膜で透析する方法で、残った腎臓の力を助けつつ緩徐に行う治療です。体にやさしいのが特徴ですが残念なことに現在の技術では約8年でその透析力がなくなり、その後は血液透析を行うことになります。

腎性貧血からシャント感染まで多様な合併症

透析を続けていると透析に伴う合併症が出てきます。腎性貧血(図5)、続発性副甲状腺機能亢進症にはじまり、長期になると血液透析では透析アミロイドーシス(図6)、腹膜透析では被嚢性腹膜硬化症があります。特徴的な感染症には、血液透析ではシャント感染(透析で穿刺した部位の感染症)、腹膜透析では腹膜炎があり、両方とも敗血症になりやすく命にかかわることもあります。これらの合併症に加え慢性腎臓病のころより動脈硬化は徐々に進行し虚血性心疾患や脳卒中が起きやすくなります。血管壁が石灰化し、レントゲン写真に血管が土管のように写るようになります(図7)。

合併症の原因は?

図8 CKD-MBD:腎不全では腎臓が担っているビタミンD活性化作用が起こらないため、骨がもろくなります

腎臓が行っている電解質調節機能の低下からカリウム・リン高値、カルシウム低値となり、造血ホルモン産生機能の低下から腎性貧血となります。続発性副甲状腺機能亢進症はカルシウム低値が副甲状腺を刺激し、副甲状腺ホルモンが産生されるために起きます。副甲状腺ホルモン値が高いままでは骨がもろくなり、異所性石灰化や心臓弁膜症などを引き起こします。血清カルシウム・リンのバランスが不安定なこと、副甲状腺ホルモン高値が影響し腎不全に基づく特殊な骨病変(CKD-MBD:慢性腎臓病による骨ミネラル代謝異常→図8)が進みます。また、腎不全下では血液中にβ2ミクログロブリンというタンパクが増えます。このタンパク質は骨や腱に結合して透析アミロイド―シスという病変をつくり、手根管症候群や透析脊椎症をひき起こします。動脈石灰化には血清リン高値が直接影響します。

高リン血症は無症状なので注意

高カリウム血症では脱力・不整脈、低カルシウム血症では四肢の攣(つ)り・不整脈、腎性貧血では倦怠感などの症状が出ます。高リン血症は体に悪影響を及ぼしますが自覚症状がないことが特徴です。体重増加量が多いと浮腫や心不全による労作時の息苦しさ横になって眠れない起坐呼吸を認めます。骨病変は徐々に進行しますが、第1-3手指の脱力では手根管症候群を、しびれや歩行障害などでは透析脊椎症について調べる必要があります。動脈硬化性病変は虚血性心疾患、脳卒中、末梢動脈疾患として発症します。

血管障害によるこれらの病気は透析を受けていない方より進行が早く、症状もはっきりしません。血液透析では血液を体外循環させるため、血管疾患が起こりやすくなります。

心臓の負担や骨病変などを評価

採血検査で各種電解質異常や透析効率を、レントゲンで心臓の負担がないかを評価します。各種動脈硬化性疾患については血圧や脈拍の不安定化、末梢の冷え、動脈触知困難、疼痛などの症状で疑い、心電図やエコー検査、場合により血管造影検査で調べます。骨病変についても症状出現時にレントゲンやMRIなどの検査を重ねて評価し診断します。腹膜透析では腹膜機能検査(PET検査)により、腹膜の機能・性質を評価します。

静注製剤の工夫、内服液の調整等で治療

電解質異常や腎性貧血、続発性副甲状腺機能亢進症については透析方法(透析条件といいます)や静注製剤の工夫、内服薬の調整などで治療します。心不全の場合、血液透析ではドライウェイト(透析後の体重)の調整、腹膜透析では透析液を変更し体からとり除く水分を多くすることで心臓の負担をとり除きます。各種動脈硬化性疾患に対しては循環器系の内科・外科、放射線科の協力のもとに治療します。

穿刺部周辺は毎日観察しよう

その他、血液透析ではその治療を行うための命綱であるシャントの不具合(シャントから十分な血流がとれない、シャントへの血流が多すぎる、シャント感染)も合併症の一つです。日ごろよりシャントの血流を聴診器等でチェックし、穿刺部周囲の出血が残っていないか、発赤や腫脹・圧痛などの症状がないかを毎日見ていただく必要があります。

腹膜透析では、おなかにある透析用カテーテルの出口部周囲皮膚の様子、排液混濁の有無について観察を怠らないことが重要です。皮膚の発赤や腫脹・圧痛がないかどうか、膿のようなものが流れ出てこないかに注意し、腹膜透析液を接合する際には機器表面や手指表面に常在している菌がおなかの中に入らないよう、再三注意しながら行う必要があります。

摂取していい塩分量をきちんと守る

血液中のリン高値には特に注意しましょう。リンが高いことが動脈硬化を進ませ、骨病変を進ませます。石灰化した病変は元に戻りません。摂取する塩分制限を守りましょう。高血圧や心不全の原因となります。

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