徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP 45th

病気の治療

medical treatment

感染症:VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)感染症

バンコマイシンに耐性を持ち米国で急増

腸球菌は主に腸管に存在しますが、VREはバンコマイシンが効かなくなった腸球菌で1980年代に欧州で出現しました。家畜の飼料添加用成長促進剤として20年以上も餌に加えられた抗菌薬の使用に関連していることが疑われました。その抗菌薬はバンコマイシンと交差耐性(他の薬も効かなくなること)があり使用禁止になりました。米国では1989年のVREは腸球菌全体の0.4%でしたが1995年には10%になり急激に増えています。日本では2006年以降、年に約80件と増加傾向にあります。

腸球菌の比率が変わる

腸球菌にはエンテロコッカス・フェカーリス(70-80%)とエンテロコッカス・フェシウム(15-20%)などがありほとんどは前者ですが、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)になると後者の割合が増えます。

尿道・血管カテーテル留置の方は注意

病原性は低いのですが、免疫不全や術後、尿道・血管カテーテル留置の人には尿路感染症、菌血症、心内膜炎、髄膜炎などを起こします。「血液、腹水、胸水、髄液、そのほかの通常無菌的であるべき検体」からバンコマイシン耐性の腸球菌(VRE)が検出された場合に医師は保健所への届出が必要です。「喀痰、膿、尿、そのほかの通常無菌的ではない検体」からVREが検出された場合は、分離菌が感染症の原因菌と判断されることが届出の条件となります。保菌者は届出の必要がありません。

VREの種類に応じて抗菌薬を使い分ける

VREは多くの場合、無症候性の保菌者として保持されており、そのような人に対して治療や予防投与は勧められていません。複合感染症の場合は感染の主役が他の強い菌であれば、その菌に照準をあわせた治療を行います。

VREがフェカーリスの場合は感受性があればアンピシリンで治療します、ゲンタマイシンを併用することもあります。
VREがフェシウムの場合は多くがアンピシリンやアミノグリコシド系の抗菌薬に耐性があります。リネゾリド、ダプトマイシンなどが第一選択です。

入院患者への感染予防対策が重要

VREは保菌であることが多いので、VREに感染した患者さんのみの感染対策では不十分です。すべての入院患者への標準予防策が重要です。主に医療従事者の手を介して患者さんから患者さんへ伝播するので適切な手洗いが必要になります。

また入院患者さんから保菌者もしくは発症者(感染者)が出た場合は接触予防策を行います。ガウンや手袋を装着し、病室からの退出時には衣類や手指を汚染しないように適切に脱ぎ捨てるようにします。

参考文献
  • 矢野邦夫. 知って防ぐ耐性菌2. ヴァン・メディカル. 2015
  • 今日の治療指針 2017. 南江堂.

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