病気の治療
medical treatment
medical treatment
黄色ブドウ球菌はヒトの皮膚、鼻腔などの体表面に定着します。特に鼻腔には10~40%くらい定着しています。普段は害がないのですが、皮膚を切ったり、刺されたりすることで感染が起きます。
MRSAは医療関連感染の代表的な原因菌の一つですが、欧米では市中感染型のMRSA感染症も増えています。病院内では抗菌薬の暴露、他の患者さんとの接触、院内伝播によって黄色ブドウ球菌の耐性菌の比率が高くなるため、呼吸器感染症、菌血症、術後感染症などが起こりやすくなります。
1940年代に量産化に成功した抗菌薬のペニシリンG(天然ペニシリン)は黄色ブドウ球菌によく効いていました。しかし黄色ブドウ球菌がペニシリナーゼを産生するようになりペニシリンGが効かなくなっていきました。抗菌薬が普及し使用量が増えたという背景もあります。次に開発された抗菌薬がメチシリンで1960年ごろから欧米で使用されるようになりましたが、間もなくして効かなくなりメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が出現しました。感受性によって4種類に分かれます。わずかですがペニシリンGが効く黄色ブドウ球菌、メチシリンが効く黄色ブドウ球菌、メチシリンが効かない黄色ブドウ球菌(MRSA)、そしてバンコマイシン耐性の黄色ブドウ球菌です。
新しい抗菌薬に対して最初に効かなくなるのは黄色ブドウ球菌と緑膿菌といわれています。
病院内では人工呼吸器を介した呼吸器感染症、心臓手術や人工関節置換術などによる手術後感染症、血管内に留置されたカテーテルによる菌血症、心内膜炎、骨髄炎、髄膜炎などを起こします。
治療に適する抗菌薬はバンコマイシンです。他にテイコプラニン、リネゾリド、ダプトマイシンなどがあります。近年ではバンコマイシンが効きにくい黄色ブドウ球菌が増加傾向にあるという報告もあります。