徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP 45th

病気の治療

medical treatment

感染症:多剤耐性緑膿菌(MDRP)感染症

抗菌薬で耐性菌ができやすい緑膿菌

緑膿菌は水中や土中などの自然環境に広く分布しており、生野菜からも分離され健康な人の腸管に保菌されていることもあります。抵抗力の落ちた人が腸管などの体内に保菌していると、感染管理をしても自分の内部から緑膿菌による感染が起きえます。病院では流しなどの水回りやトイレなどから分離され、消毒薬、人工呼吸器、内視鏡などが汚染されることがあります。抗菌薬に耐性菌ができやすいので抗菌薬が多く使われる傾向があります。
多剤耐性緑膿菌はカルバペネム、キノロン、アミノグリコシド系の抗菌薬に耐性を示す緑膿菌です。

健康な人が感染するのは稀

緑膿菌は黄色ブドウ球菌とともに臨床材料からよく分離されます。敗血症、肺炎、尿路感染症、胆道系感染症など感染症の原因になります。健康な人に感染を起こすことは稀で、感染を起こすのは大量の抗菌薬や抗がん剤を投与している人、白血病、肝不全、重症の糖尿病、AIDS、常にカテーテルが挿入されている人、高齢者で特に寝たきりの状態の人などです。

一般的に多剤耐性菌を予想させる要素は、

  1. 過去90日間に抗菌薬使用の既往(特にカルバペネム系、高次セファロスポリン系、キノロン系)
  2. 入院後5日間経過
  3. 耐性菌の多い地域や病院からの転送
  4. 医療関連肺炎のリスク:過去90日間に病院に入院、老健などの長期療養型施設入所中、多剤耐性菌をもつ患者さんの家族

などです。

重度の方には抗菌薬の併用療法が基本

保菌者は症状がないので抗菌薬を使う必要はなく、抗菌薬を投与するとさらなる耐性菌をつくります。ドレナージやデブリマン(治癒を妨げる壊死組織を除去すること)も重要で、皮膚感染はデブリマンだけで治癒することもあります。
感染には抗菌薬が必要ですが、カルバペネム系薬を含むβラクタム系薬はほとんど無効で、重度のMRDPには併用療法が基本となります。アザクタム(AZT)にアミノグリコシド系薬のアミカシン、ゲンタシン、トブラシンなどを併用することが多いです。抗MRSA薬のハベカシンが効くことがあります。コリスチンは強い抗菌活性を有することで知られています。

参考文献
  • 感染症専門医テキスト 第Ⅰ部 解説編. 南江堂. 2011
  • 青木眞. 感染症診療マニュアル 第3版. 医学書院. 2016
  • 今日の治療薬2016. 南江堂

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