病気の治療
medical treatment
medical treatment
糖尿病の経過中にみられることのある意識障害を主徴とする急性代謝性合併症です。病因、病態により糖尿病性ケトアシドーシス性昏睡、高浸透圧性高血糖性昏睡に分類されます。2つの病型とも高血糖のために起こります。
1型糖尿病では何らかの理由でインスリンの量を急に減らす、あるいは中止したときに生じます。体の主なエネルギー源はブドウ糖であり、通常はインスリンによってブドウ糖が消費されていきます。しかし、インスリンが不足してブドウ糖が利用できなくなると代替エネルギーとして筋肉内のタンパク質や脂肪を使うようになります。脂肪がエネルギー源として分解されたときに生じるのがケトン体です。このケトン体は酸性の高い物質で、体に溜まると血液が酸性になっていきます。糖尿病で起きるケトン体蓄積状態は糖尿病性ケトアシドーシスと呼ばれ、主に1型糖尿にみられる急性合併症です。
一方、2型糖尿病ではある程度インスリンが分泌されている時期から病期が進み、インスリンの分泌量がさらに減少、あるいはインスリンへの抵抗性が高くなることで血糖が異常に高くなってしまうことがあります。インスリンの相対的不足状態に加えて、風邪などの感染症や暴飲暴食、さらにはストレスなどが重なり、血糖が著しく高くなると(500mg/dl以上)意識障害をきたします。意識障害に至る前駆症状として高血糖による著しい口渇、多尿がみられます。これにより脱水を生じ、さらには体の中の水分やナトリウム、カリウムなどの電解質のバランスが崩れ、結果的に全身倦怠感や腹痛、下痢などをきたします。さらに高血糖状態がひどくなるとショックやけいれんを起こし、昏睡に至ります。
いずれの病型でも感染症が契機になることが多いので、糖尿病の治療経過中にある方は風邪などで食欲がなくてもスープやジュースなど喉を通るものを少量でも摂取し、合わせてインスリンや経口薬を中断しないことが重要です。どうしても食べられない、薬が飲めない、インスリンが打てないというときは病院に連絡をしてください。早め早めの対処が大切です。
シックデイ時(調子の悪いとき)の対応としてはまず安静にすることが重要です。これにより体力の消耗が妨げられ、抵抗力を温存することができます。特に全く食事がとれない、下痢・嘔吐がとまらない、高い熱が続く、あるいは高い血糖値(250mg/dl以上)が続くなどのいずれかの場合にはすぐに受診が必要です。