徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

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Tokushukai medical group newspaper digest

2020年(令和2年)7月13日 月曜日 徳洲新聞 NO.1244 四面

読み解く・読み得“紙上医療講演”㊱
熱中症予防し命を守る

じめじめした蒸し暑い日が続いています。梅雨が明けると本格的に夏が到来、暑さもどんどん増していきます。この時期、注意を要するのが熱中症です。今シーズンは新型コロナウイルス感染症予防のため、マスクを着用する機会が増えていますが、高温多湿の環境でマスクを着用すると、熱中症のリスクが高まるという指摘もあります。羽生総合病院(埼玉県)の姜昌林・救急科部長が熱中症の予防策や対処法、注意点などを解説します。

姜昌林・羽生総合病院(埼玉県)救急科部長姜昌林・羽生総合病院(埼玉県)救急科部長

ヒトは脳の視床下部という部分が体温調節機能を司り、通常は体温を一定に保っています。外部環境の影響で体温が上昇している場合には、体表面から熱を逃がす放散や、発汗を促し気化熱で体温を下げる働きなどがあります。熱中症は体温調節の働きが間に合わず体に熱がたまったり、体内の水分や電解質(塩分など)が失われたりすることで発症するさまざまな病態の総称です。

高温多湿で風がない場所などでは、放散や気化熱による体温調節機能が低下し、熱中症を起こしやすくなります。

熱中症は症状によって重症度Ⅰ~Ⅲ度(表)に分かれます。Ⅱ度以上は医療機関の受診をお勧めします。

呼びかけに答えないなど意識状態が悪い場合は、早期に治療する必要があり、すぐに救急車を呼ぶべきです。

意識障害がなければ、風通しの良い日陰やクーラーの効いた室内で休ませながら、スポーツドリンクなどで水分・電解質の補給をしっかりと行ってください。深部体温を下げるため腋窩部(えきかぶ)(わきの下)や鼠径部(そけいぶ)( 大腿(だいたい)の付け根)などを冷やすことも有効です。

今年は感染予防でマスクを着用の機会が多いですが、呼吸による熱の放散が進まなかったり、無意識に水分摂取を控えたりと、熱中症を予防するにはマイナスの作用もあります。厚生労働省は熱中症予防のため「屋外で人と十分な距離(少なくとも2m以上)が確保できる場合には、マスクをはずすようにしましょう」と呼びかけています。

熱中症は日差しの強い屋外で多く発生すると考えがちですが、じつは屋内での発生も多く、熱中症による死亡率は屋内のほうが高いのです。

総務省消防庁が発表した「令和2年6月29日~7月5日 全国の熱中症による救急搬送状況(日別)速報値」によると、同期間に996人が救急搬送され、そのうち6割は高齢者、発生場所の4割は住居です。

熱中症の重症度分類と症状

ご高齢になると暑さを感じにくくなるほか、暑さを我慢したりエアコンが嫌いだったりする方が多く、気付かぬうちに熱中症で動けなくなってしまうケースが見られます。とくに、独居の場合は助けを求めることも難しくなってしまうため、できるだけ熱中症にならない生活を心がけてください。

のどの渇きを感じなくても小まめに水分や塩分補給をし、室内の風通しを良くしておくことが大切です。またエアコンを使用し適切な室温を維持してください。

ふだん、私たちは食事からも水分を多く摂取しており、食欲がなく食事量が減っている場合は、水分だけでもしっかり摂るように意識してください。トイレに行く回数を減らしたいため、あまり水分を摂らないという方がおられますが、老廃物を体外に排出するためにも排尿は必要なことですので、水分補給を優先してください。心不全や腎不全で水分制限されている方は、あらかじめ主治医に相談しておくと良いでしょう。

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