徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2019年(令和元年)11月11日 月曜日 徳洲新聞 NO.1210 三面

徳洲会心外部会
最新知識共有し研鑽 日本胸部外科学会で発表も

徳洲会心臓血管外科(心外)部会は10月31日、第72回日本胸部外科学会定期学術集会の日程に合わせ京都府で第5回集会を開催した。同学会では、名古屋徳洲会総合病院の大橋壯樹総長がビデオシンポジウムで演題発表。また徳洲会グループ病院から計19題発表があった。そのうちから同部会で5演題の発表があり、約30人の参加者が研鑽(けんさん)した。

徳洲会心外部会に全国から30人ほどが参集 徳洲会心外部会に全国から30人ほどが参集

徳洲会心外部会の冒頭、部会長の大橋総長、岸和田徳洲会病院(大阪府)の東上震一総長(医療法人徳洲会副理事長)がそれぞれ挨拶。続く演題発表では、まず千葉西総合病院の西嶋修平・心臓血管外科医師が「大腿(だいたい)動脈送血を使用するMICSにおける疾患別の無症候性脳梗塞(SCI)の検討」と題し発表。MICS(低侵襲心臓手術)術後にMRI(磁気共鳴画像診断装置)を撮影し、疾患ごとにSCI発生率の検討を行った。

率先して議論を盛り上げる東上総長 率先して議論を盛り上げる東上総長
ビデオシンポジウムで発表する大橋総長 ビデオシンポジウムで発表する大橋総長
西嶋医師はSCI発生率を検討 西嶋医師はSCI発生率を検討

結果、大動脈弁狭窄(きょうさく)症が最も多く、動脈硬化性疾患であることや弁切除時の微小デブリ( 壊死(えし)組織)の脱落の影響が考えられると考察。また、全体では右内頸動脈(けいどうみゃく)領域でのSCIが多く、「体位の影響と、腕頭動脈が心臓から最も近位かつ大腿動脈から最も遠位である大動脈第一分枝であることが理由と考えられます」と解説した。

大隅鹿屋病院(鹿児島県)の内野宗徳・心臓血管外科医師(現・佐賀大学医学部心臓血管外科助教)は「ガイドライン(GL)を逸脱したスタンフォードA型急性大動脈解離の保存的治療」をテーマに発表。急性A型解離治療の第一選択は緊急手術であるが、GLでは保存的加療が可能な条件も示されている。しかし、高齢者などには手術が厳しく、GLから逸脱しても保存的加療を選択するケースがある。

同院の症例で検討した結果、GLから逸脱していても、保存的加療により急性期死亡を免れる症例もあり、「全身状態や社会的要因など総合的に判断し、治療方針を決定する必要が考えられます」と結論付けた。

岸和田病院の畔栁智司・心臓血管外科主任部長は「SIMPLE STRATEGYで行う僧帽弁形成術の長期予後」と題し発表した。同院での僧帽弁形成術は、後尖(こうせん)逸脱ならresection(切除術)、前尖(ぜんせん)逸脱なら人工腱索(けんさく)を用いた手術を実施。比較的小さなリングによる弁輪形成術を基本としたシンプルな戦略による僧帽弁逸脱の長期成績を検討した。エンドポイントとして心臓死亡、再手術など設定し、症例全体と後尖resection症例を比較すると、後尖resection がより良好な成績を示した。さらに「Respect Rather Than Resect( 弁尖(べんせん)を切らずに残す)の論文報告と比べ、死亡率や再手術率は遜色(そんしょく)ない成績でした」と強調した。

保存的加療を説明する内野医師 保存的加療を説明する内野医師
僧帽弁形成術の長期予後を示す畔栁・主任部長 僧帽弁形成術の長期予後を示す畔栁・主任部長
陣内医長は高齢者開心術での評価方法を紹介 陣内医長は高齢者開心術での評価方法を紹介
大城部長はImpella 補助が有効だった症例を報告 大城部長はImpella 補助が有効だった症例を報告

福岡徳洲会病院の陣内宏紀・心臓血管外科医長は「5m歩行速度を用いた高齢者開心術におけるFrailty 評価と周術期合併症予測」をテーマに発表。同院で実施している5m歩行速度が、75歳以上の開心術に対する術後合併症発生の予測因子になり得るか検討した。

結果、高齢者の開心術で、Japan Score、EuroScore などでは有意差が見られなくても、歩行速度が遅い群のほうが改善は遅い傾向にあったと報告。「患者さんの活動度を反映し得る5m歩行速度は、Frailty( 虚弱)評価と周術期合併症予測因子として簡便で有用なテストになり得ると考えます」とまとめた。

大垣徳洲会病院(岐阜県)の大城規和・心臓血管外科部長は「急性心筋梗塞(AMI)に続発した心室中隔穿孔(せんこう)(VSP)に対してImpella 補助が有効であった3例」と題し発表。VSPではIABP(大動脈内バルーンパンピング術)やPCPS(経皮的心肺補助法)で補助し、可能な限り手術を待つことが望ましいが、進行性の心原性ショックによる多臓器不全となり緊急手術を余儀なくされる場合が多い。発表ではVSPショックに対し、Impella( カテーテル型左心補助装置)で補助後に手術した3症例を報告した。いずれもImpella によって、心負荷軽減と心筋循環改善がもたらされ、AMI発症後2〜3週間の手術待機を可能としたことを説明。「急性期に心不全コントロールをしつつ十分に心筋瘢痕化(はんこんか)を待ち、安定したVSP閉鎖術を施行できました」とアピールした。

大橋総長は胸部外科学会のビデオシンポジウムで「心筋梗塞後心室中隔穿孔(VSP)に対する経右室シングルパッチ閉鎖術」をテーマに発表。同院ではVSPに対しImpella で循環動態を維持し、待機的手術を実施している。簡便かつ左室の機能不全を来さない経右室シングルパッチ閉鎖術を行った2症例を、動画を供覧しながら解説。

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