徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2019年(平成31年)4月1日 月曜日 徳洲新聞 NO.1178 四面

仙台病院
ロボットスーツ「HAL」導入
神経難病リハビリを強化

仙台徳洲会病院はロボットスーツ「HAL(Hybrid Assistive Limb)医療用下肢タイプ」を導入、1月に1例目の患者さんに対しHALを用いたリハビリテーション入院を実施した。徳洲会グループでは湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)、和泉市立総合医療センター(大阪府)、南部徳洲会病院(沖縄県)に次ぎ4施設目の導入。

HAL を用いたリハビリの様子 HAL を用いたリハビリの様子

HALは身体機能を改善・補助・拡張・再生することができるサイボーグ型ロボットスーツ。人が体を動かそうとする時、脳は神経をとおして動作に関する信号を筋肉に送り出す。健常者の体では、この信号を受け取ることにより、動作に必要な分の力で筋肉を動かすことができる。

一方、HALは独自に開発したセンサーを皮膚に貼り付けることで、皮膚表面から漏れ出る微弱な信号(生体電位信号)を読み取り、装着者がどのような動作をしたいと考えているのか認識。これに合わせてパワーユニットをコントロールする。

コントロールには生体電位信号を検出し、装着者の思いどおりに動作する「サイバニック随意制御システム」と、生体電位信号を検出できなくても動作を実現する「サイバニック自律制御システム」のふたつを混在させることで、装着者の動きをアシストする先進技術を用いている。

徳洲会グループのHAL 導入施設

湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)
和泉市立総合医療センター(大阪府)
南部徳洲会病院(沖縄県)
仙台徳洲会病院
脳・神経系への運動学習を促すことができるシステムも搭載。体が動いた時、脳は実際に体がどういう信号で、どのように動作したか確認を行う。たとえばHALを用いて「歩く」動作をアシストした場合は、「歩けた」という感覚が脳にフィードバックされる。これにより脳は「歩く」ために必要な信号の出し方を少しずつ学習していく。こうしたメカニズムを脳に覚えさせることも、足の不自由な方がHALを装着せずに歩けるようになることにつながる。

HALは2016年1月に保険適用。筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄(せきずい)性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、シャルコー・マリー・トゥース病、封入体筋炎、遠位型ミオパチー、筋ジストロフィー、先天性ミオパチーの8疾患が対象だ。同院はALSをはじめとする神経難病患者さんの受け入れに積極的であり、約2年半後に控えた新築移転を見据え、HALの導入に踏みきった。

HALを使用するためには、メーカーが企画する安全使用講習を受講し、修了する必要がある。同院では神経内科医師1人、理学療法士(PT)5人が同講習を受講。さらに修了したPTのうち2人がメーカー提携病院で1週間ほど研修し、実際の装着手順や治療の実際について学んだ。

患者さんに希望もたらす治療として期待を寄せる

HALの設定を患者さんに合わせ微調整 HALの設定を患者さんに合わせ微調整

1例目は同院へ入退院を繰り返し、HALの使用が適用・推奨されるALSの患者さん。ALSは脳や脊髄からの命令を筋肉に伝える運動神経が侵され、筋肉が萎縮していく進行性の難病だ。患者さんは歩行器での歩行が見守りで可能だが、下肢筋力低下・支持性低下により上肢支持に頼った歩行となっている。下肢筋力の左右差もあり、左下肢の低下が目立つため転倒の危険性がある。

入院期間は1クール約2週間。患者さんは病室で生体電位信号を感知するセンサーを皮膚表面(大腿(だいたい)部前面・後面、鼠径(そけい)部、臀(でん)部)に貼り付けたうえで、リハビリ室に入室する。ベッドに腰かけ、専用機器で体を持ち上げHALを装着後、歩行訓練を実施。この間、PT2人が付きっきりで対応する。

患者さんに話しかけながらリハビリを行う谷藤副主任(右) 患者さんに話しかけながらリハビリを行う谷藤副主任(右)

HALを用いたリハビリテーションを開始してから、初めの数日はアシストの設定を微調整しては歩行練習を繰り返し、徐々に滑らかな動きとなってきた。左下肢への重心移動、荷重も促され、自己評価も向上した。

HALを用いた1回の歩行練習にかかる時間は、休憩も含め20~30分程度であるが、着脱や前後の歩行評価など一連の工程を含めると1時間~1時間半を要し、HALでのリハビリを行う患者さんへの身体的負担など課題は残る。

リハビリを担当する谷藤慶幸リハビリテーション室副主任(PT)は、「HALは新たな治療手技であり、まだ対象者も少なく、HALでのリハビリがもたらす効果については未知の部分が多くあります」と説明。しかし、「治療前後の運動機能評価を蓄積し続けることによって、効果をより現実的なものとしていくことで、患者さんに希望をもたらす治療のひとつとして提供していけるのではないかと思います」と期待を寄せている。

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