徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

鈴木 隆夫(すずきたかお)(一般社団法人徳洲会理事長)

直言 生命いのちだけは平等だ~

鈴木 隆夫(すずきたかお)

一般社団法人徳洲会理事長

2019年(平成31年)4月1日 月曜日 徳洲新聞 NO.1178

成長の原動力は「患者さんのため」
この信念がある限り進化は止まらず
不可能に思えたアフリカでの腎移植を達成

「Yes, We did it ! 」

この言葉が添えられた一枚の写真が昨年、私の執務室に掲げられました。手術室から溢れんばかりのアフリカ人と日本人の医療者たちの顔には、一様に手術をやり遂げた笑顔と誇りが漲みなぎり、その写真を眺めるたびに、私も誇らしい気持ちになります。

昨年3月、徳洲会グループと東京女子医科大学病院の合同チームは、アフリカのタンザニアで現地医療スタッフによる初の腎移植をサポートしました。約1万2000㎞離れた日本にいる私に、知らせが届いたのは深夜の1時。手術の成功を意味する「先生、おしっこが出ました!」という安堵(あんど)と喜びが入り混じった涙ながらの報告に、私もまた目頭が熱くなりました。

ここに至るまでには長い道程がありました。現地の内科・外科医師、看護師、臨床検査技師らが来日し研修を受ける一方、日本からも多職種がチームを組んで現地を訪れ、医療技術の指導のみならず法整備、物品調達、環境整備まで尽力しました。来日研修や現地指導は継続して実施し、昨年8月には2度目、今年3月には3度目となる腎移植を行い、これまでに計7組の移植が成功しています。先日、駐日タンザニア大使が、移植した患者さんの元気な姿が映った写真を見せに来られました。

人種や国境・宗教・世代超え 徳洲会の理念と哲学の共有を

徳洲会は今年、創立46年目を迎えました。大阪で、ひとつの病院から始まり、現在は全国に72病院を含む340以上の医療・介護・福祉施設を展開。医業収益4500億円超の民間最大の非営利法人グループに成長しました。4月には研修医149人を含む約3000人が新たに入職し、職員数は計3万3000人超となります。

離島・へき地医療と救急医療を原点とする徳洲会は「生命(いのち)だけは平等だ」の理念の下、「いつでも、どこでも、誰でもが最善の医療を受けられる社会」の実現を目指しています。

2020年4月には学校法人徳洲会 湘南鎌倉医療大学(仮称)開学を目標に掲げ、準備を進めています。そこでは徳洲会の理念と哲学を、人種、国境、宗教を超え、将来の医療を担う若者たちと共有したい。また、徳洲会の職員が同大学で最先端の技術や病院経営学などを学べるようサポートしたいと考えています。

ここまで私たちが成長できた原動力は、医療は自分自身のためではなく、「患者さんのため」にあるという信念です。その信念がある限り、私たちの進化は止まりません。社会的な責任も大きくなってきています。

私たちは肌の色も宗教も違うはるか彼方にある国で、不可能とも思えた腎移植を、皆の力を結集し実現しました。現地医療者だけの力で実践できる日もすぐ目の前に来ています。

隣国のコンゴでも、徳洲会と日本の外務省の支援により、病院での透析医療が3月25日に始まりました。04年のMOU(覚書)締結に端を発し、内戦やエボラ出血熱の蔓延など想像もできなかった困難を乗り越えながら、15年に日本で研修を実施し、17年には透析機器を寄贈しました。その病院の透析医療支援には徳洲会で育ったカメルーンの医師、ガゼル先生も協力しています。これからも「最善の医療を提供したい」という徳洲会の信念が、アフリカの仲間を通じ、アフリカ大陸に広がることを願ってやみません。こうしたプロジェクトはアフリカのみならず日本国内からも高く評価されるようになりました。

願いは日本全国で質の高い専門医療を受けられること

タンザニアの腎移植プロジェクトは「なぜアフリカまで行って腎移植をしているのに、日本では限られた施設でしかできないのか」と、自らに問うきっかけになりました。日本各地の徳洲会の病院に腎移植を望む患者さんがおり、移植技術をもった専門チームもありながら、ドナー(臓器提供者)不足により腎移植ができないのが現状です。

ドナーは、生体腎移植であれば家族や親戚などですから、地元の病院で手術を受けたいと考えます。

腎移植に限らず徳洲会がもつ質の高い専門医療が、日本中で受けられるようになることを強く希求しています。「いつでも、どこでも、誰でもが最善の医療を受けられる社会」の実現に向け、あくなき追求を行うことは、私たちの誇りであり、存在をかけるに足ることは間違いありません。皆で頑張りましょう。

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