徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2018年(平成30年)10月29日 月曜日 徳洲新聞 NO.1157 四面

遠隔画像診断を活用
より精密な医療提供
日高病院と石垣島病院

通信技術を活用した医療が進むなか、徳洲会グループでは離島・へき地の病院が撮影したCT(コンピュータ断層撮影装置)やMRI(磁気共鳴画像診断装置)などの画像を、都市部のグループ病院に在籍する放射線診断専門医が読影する遠隔画像診断システムを構築している。その一端を紹介する。

離島・へき地医療特集

所見を確認しながら患者さんの治療を協議 所見を確認しながら患者さんの治療を協議

徳洲会グループの遠隔画像診断システムは、もともと札幌徳洲会病院が15年以上前から道内の帯広徳洲会病院、札幌南徳洲会病院、日高徳洲会病院と取り組んでいたものをモデルに整備してきた。このうち、日高病院はCTとMRIの画像診断を札幌病院に依頼。かつては画像を選んでいたが、現在は全例を依頼、その数は月間約400件に上る。

まず日高病院が撮影した画像データをPACS(医用画像情報システム)に保存すると、自動で所見(見た結果の判断や意見)依頼と読影する画像のリストが時系列で作成される。所見依頼と画像リストを札幌病院の片田竜司・放射線科部長が確認し、画像が保存されている日高病院のサーバーにアクセスして画像診断を行う。

所見を片田部長が記録すると、日高病院放射線科のパソコン画面上に「所見参照可能」と表示され、所見を閲覧できる。所見の記録は同院の電子カルテとも連動しており、医師が電子カルテ上でも確認することが可能だ。

日高病院の坂本和繁・放射線科副技師長(診療放射線技師)は「競走馬の生産牧場が多いこともあり、馬に蹴られて複雑骨折をするなど高エネルギー外傷の患者さんが来院します。また、脳梗塞の疑いでMRIの検査を行っても、常勤医が内科医しかいません。より正確な診断を行うために読影のスペシャリストの協力が得られるのは心強いです」と説明する。

遠隔システムの良さをアピールする池原院長 遠隔システムの良さをアピールする池原院長

さらに「患者さんの安心感につながるのはもちろん、当院の医師も、より良い医療の提供につながると喜んでいます。すぐに所見を確認できるので放射線技師の読影力を高めるための勉強にもなります」と加えた。

石垣島徳洲会病院(沖縄県)は中部徳洲会病院(同)と南部徳洲会病院(同)に遠隔画像診断を依頼。大半は中部徳洲会病院への依頼だが、読影する同院の具志堅益一・放射線科部長(放射線診断専門医)の負担を考慮し、依頼するのは診断に悩む症例や他院から受けたCTなどの画像のみだ。

同院もPACS上のシステムで依頼。おおむね2~3日後に所見が記載される。石垣島病院の岡克哉・放射線科主任(診療放射線技師)は「当院には読影の専門医がいないため、診断が難しい症例などを遠隔で見ていただくことで、患者さんと医療従事者の安心感につながります」とメリットを強調。

「患者さんのためにより精密な医療を」と岡主任(左)と森永若菜・診療放射線技師 「患者さんのためにより精密な医療を」と岡主任(左)と森永若菜・診療放射線技師

かつてはフィルムを依頼先の病院まで持参したり、画像データを記録したCDを宅配便などで送付したりしていたが、現在はオンラインシステムでやり取りができるため、「時間のロスがない」と目を細める。

石垣島病院の池原康一院長も「助かっていますし、本当に心強い」と笑みを浮かべるものの、「放射線専門医のマンパワーが足りないなか、負担が大きくならないように配慮しています」と気遣う。

徳洲会グループの離島・へき地病院では、日高病院、石垣島病院以外でも同様のシステムを構築し、遠隔画像診断を行っている(図)。

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