徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2018年(平成30年)10月29日 月曜日 徳洲新聞 NO.1157 一・二面

徳洲会6病院
「結の島ナース」立ち上げ
離島で働く価値をアピール

離島・へき地医療は徳洲会グループの原点――。非営利の民間医療グループでありながら、徳洲会が離島・へき地医療に注力しているのは、1973年のグループ創設以来“生命だけは平等だ”の理念を掲げ、「いつでも、どこでも、誰でもが最善の医療を受けられる社会」の実現を希求しているからだ。医療者を島伝いに運ぶ軽飛行機「徳洲号」の運航や離島・へき地病院への医療者応援派遣なども、その表れにほかならない。今号は徳洲会創設45周年を記念し、離島・へき地病院の活動を紹介する。

離島・へき地医療特集

瀬戸内町に面した穏やかな離島の風景 瀬戸内町に面した穏やかな離島の風景

徳洲会グループ離島ブロックの6病院は7月、「結(ゆい)の島ナース」を立ち上げた。これは看護師を対象とする新たな採用プロジェクトで、参加病院は名瀬徳洲会病院、笠利病院、瀬戸内徳洲会病院、喜界徳洲会病院、徳之島徳洲会病院、沖永良部徳洲会病院(すべて鹿児島県)。事務局を名瀬病院の盛正泰・総務課係長と肥後友崇・総務課職員が担い、離島6病院で働きたい徳洲会グループ外の看護師の採用窓口を一本化するのが狙い。

結の島ナースを利用し入職した古川看護師(左)と徳丸・看護部長 結の島ナースを利用し入職した古川看護師(左)と徳丸・看護部長

入職希望者はエントリー後に履歴書を送り、事務局と相談しながら入職希望病院を決め、電話で総務課や看護部長らと面接を実施。採用が決まったら、事務局が住居など離島での暮らしをサポートする。6カ月以上勤務することが条件で、同一病院でも3カ月ごとに病院を変えても良い。

呼吸器診察について解説する平島センター長 呼吸器診察について解説する平島センター長

結の島ナースは、名瀬病院で研修医教育に力を入れる平島修・徳洲会奄美ブロック総合診療研修センター長の提案から始まった。「離島で働きたいという熱い志をもった看護師に来ていただきたい。楽しさ、やりがいを感じて仕事をしていると、病院も活気づきます」と理由を明かす。同時に「離島病院では全人的に患者さんを診ることができます。都会で仕事に行き詰まった方なら、新たな価値観を見つけるきっかけにもなると思います」と狙いを話す。

医療座談会には地域の病院や行政も参加 医療座談会には地域の病院や行政も参加

盛係長は「離島で働くハードルが低くなるように、しっかりフォローしていきたい」と語気を強める。肥後職員も「人と人とのつながりを感じ、離島でしかできない経験をしてほしい」と〝結(ゆい)〟に込められた思いを語る。

10月17日に結の島ナースを利用した古川祐子看護師が、名瀬病院に初入職。徳丸順子・看護部長は「離島ならではの看護ができますので、古川さんらしさを出して、いきいきと仕事をしてほしいです」と期待を寄せ、古川看護師は「結の島ナースからの第1号として大変光栄です。離島でしか体験できない看護を精いっぱい学んでいきたい」と意気込みを見せている。

離島全体で医療を考える

島伝いに医療者を運ぶ「徳洲号」 島伝いに医療者を運ぶ「徳洲号」

平島センター長は「教育のないところに人は集まらない」という思いのもと、5月から「結の島ナースフィジカル勉強会」をスタート。バイタルサイン(生命兆候)、循環器診察などをテーマにした全10回のコースを1年かけて実施する勉強会だ。結の島ナースを利用して入職した看護師にも積極的に参加してもらう予定。

取材の日は「呼吸器診察」がテーマ。参加者同士が聴診器を当てながら正常呼吸音を確認、そのうえで肺炎や肺がんなど疾患がある場合の呼吸音との差を理論的かつユーモアを交えて解説した。最後に平島センター長は「自ら学ぶ姿勢が大切。ふだんの診療で疑問に思った症例をもち寄ったりして一緒に勉強していきましょう」と呼びかけた。

結の島ナースの事務局を務める盛係長(左)と肥後職員 結の島ナースの事務局を務める盛係長(左)と肥後職員

また、平島センター長の新たな取り組みとして、昨年4月に地域の方々との医療座談会をスタート、これまでに奄美大島の各地域で13回実施した。これは健康をテーマに地域の方々がどのような悩みや要望を抱えているのか、実際の声を聞くのが目的。初めは名瀬病院のみでの取り組みだったが、行政や地域の医療機関も参加するようになり、今年4月からは「奄美の健康を考える会」として活動している。

平島センター長は「離島の医療はひとつの病院だけではなく、離島全体で考えないといけません」と指摘。

続けて、「これからも地域の病院との横のつながりを強化していきたい。ゆくゆくは結の島ナースも離島全体の取り組みとして発展していけたら良いと思います」と意気軒高だ。

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