徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

病気の治療

medical treatment

消化器外科の病気:膵がん(膵臓がん)

治療が困難ながんの代表

膵がん(膵臓がん)は見つかりにくい、症状が出にくい、進行が早いなどの理由で治療に難渋するがんといわれています。近年増加傾向にあり、2016年のがん死亡数予測では、肺がん、大腸がん、胃がんに続いて第4位です。ここでは、膵がんの原因、症状、最近の治療についてお話しします。

遺伝要因もわずかながら関係

従来から遺伝要因が指摘されており、膵がん患者の3~7%に家族内(血縁内)での発生を認めます。その他、糖尿病、肥満、慢性膵炎などの疾患、喫煙、飲酒などの嗜好が膵がんの発生リスクと言われています。膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)という腫瘍(できもの)がありますが、膵がんの発生母地となるので、検診などで指摘された方は専門家のフォローが必要です。また、膵嚢胞(膵に水がたまっている状態)の一部もがん化するので、定期的なフォローをお勧めします。

腫瘍で胆道が塞がると黄疸

一般的に症状が出にくいのが膵癌の特徴です。腫瘍の増大により、腹痛、背部痛、体重減少、食欲低下などの症状が出ます。膵がんが膵臓の右側に発生すると、胆汁の流れ道が塞がり、全身が黄色くなる黄疸という症状が出ます。また、膵炎として発病することがあり、その場合は急激に腹痛が出現します。

抗がん剤の発達で手術できるケースも増加

他の多くのがんと同様、外科手術が第一選択となります。膵がんの発生部位により術式が異なり、右側に発生すると、膵頭十二指腸切除術(膵1/3、胆管、胆嚢、十二指腸を切除)、左側に発生すると、膵体尾部切除術(膵1/2、脾臓)が一般的に行われます。どちらも所属リンパ節(近くのリンパ腺)を同時に切除します。近年、IPMN、膵嚢胞性腫瘍などの低悪性度腫瘍に対して腹腔鏡手術が行われるようになり、低侵襲治療ができるようになりました。

抗がん剤は、手術ができなかった場合の化学療法、再発予防のための補助化学療法として用いられます。近年、抗がん剤治療は目覚ましく改善し、ガイドライン推奨薬で腫瘍縮小効果(奏効率)約40%、がんの増殖抑制効果を含めると約80%と言われています。最近では、診断時に手術ができない方でも抗がん剤投与後に手術になるケースが散見されます。

放射線治療に関しては、除痛以外の効果がないといわれていますが、抗がん剤との併用が有用であるとの報告もあり、今後集学的治療(組み合わせた治療)の一つとして加わる可能性があります。

その他、免疫治療、分子標的治療などが臨床試験として行われており、今後の集学的治療に加わることが期待されています。

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