徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP 45th

病気の治療

medical treatment

消化器外科の病気:痔瘻

肛門のほかに出口がつくられてしまう

痔瘻(じろう)は、直腸と肛門周囲の皮膚をつなぐトンネルができる痔のことです。肛門周囲に膿がたまる肛門周囲膿瘍が進んで慢性化すると痔瘻になります。つまり、大腸と皮膚が肛門以外に出口をつくってしまった状態を痔瘻といいます。常に大腸とつながっているので自然に治ることは期待できません。さらに通常の痔と異なり、痔瘻を放置すると悪性化(痔瘻がん)に発展することがあります。大腸がんのなか中でも最も予後が悪いので、お尻の病気だからと躊躇せずに、痔瘻が疑われる場合には早期に受診をお勧めします。

肛門腺に入り込んだ細菌が原因

痔瘻の主な原因は、下痢などによって肛門の組織に細菌が入り込むこととされています。歯状線には「肛門陰窩(こうもんいんか)」と呼ばれる上向きのくぼみがあり、粘液を出す「肛門腺」と呼ばれる組織があります。小さなくぼみなので通常ここに便が入り込むことはありませんが、下痢をしていると便が入りやすくなり、肛門腺に大腸菌などの細菌が入り込むことがあります。

この肛門腺に大腸菌が入った際に、付近に傷があったりストレスなどで体の免疫力が弱っていたりすると感染を起こして化膿し、肛門周囲膿瘍になります。歯の隙間にばい菌が入り込んで虫歯になるのと同じようなイメージです。さらに肛門周囲膿瘍が進行して肛門の内外をつなぐトンネルができると、痔瘻となります。長時間、痔瘻の状態を放置しておくと、トンネルが何本もできて複雑痔瘻と呼ばれる状態になります。この場合、治療に難渋します。

肛門周囲が化膿し高熱を伴うことも

まず、肛門の周囲が化膿して腫れてズキズキ痛み、椅子に座れなくなります。時には38度以上の発熱を伴います。これが肛門周囲膿瘍です。この段階で自然に膿が出たり、医療機関で切開すると症状はいったん落ち着きますが、この膿瘍は肛門腺とつながっているので痛みは少ないものの常に膿が出て下着が汚れたりします。この状態が慢性化したものが痔瘻です。

検査と診断方法は?

多くの場合はこれまでの経過を聞くことと、実際に肛門の診察を行うことで診断が可能です。痛みは少ないがいつも肛門周囲から膿や汁がでて下着が汚れるといった症状があれば診断がつきます。治療を行うにあたってトンネルの位置を確認する必要があるので、肛門エコー検査やMRIを行うこともあります。

また、稀に痔瘻の患者さんで潰瘍性大腸炎やクローン病など、炎症性腸疾患といって全身疾患の一つの症状として痔瘻がある場合があるので、疑わしい場合は大腸内視鏡検査なども行います。

手術で大事なのは肛門機能の温存

痔瘻は手術でしか治りません。手術で大事なことは、トンネルの入口をなくすことと、肛門機能を温存することです。つまり排便が通常どおりにできるようになることです。

手術では肛門の穴を絞める役割をする肛門括約筋と痔瘻のトンネルを一緒に切除する「開放法」と、肛門括約筋を切らずにトンネルだけを切除する「くりぬき法」があります。肛門括約筋が大きく切除されると肛門が緩んでトイレが我慢できなくなります。痔瘻のトンネルが比較的肛門の近くで括約筋の切除範囲が少なく済む場合は開放法、それ以外はくりぬき法を行うことが通常です。シートン法といって痔瘻のトンネルにヒモを通してこれを縛って徐々にトンネルを開放する方法もあります。時間がかかりますが括約筋の損傷は少なくすみます。

PAGE TOP

PAGE TOP