徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

病気の治療

medical treatment

消化器外科の病気:小腸閉塞

腸管の内容物が停滞

小腸閉塞(イレウスともいう)とは、小腸の一部が狭くなったり、小腸の動きが低下することで、腸管内容物が腸管内に停滞する病気です。

小腸閉塞は原因により、機械的と機能的に分類され、さらに機械的腸閉塞には血流障害の有無によって、閉塞性(単純性腸閉塞)、絞扼性(複雑性腸閉塞)に分類されます。原因で多いのは術後の癒着で50〜80%といわれています。

腸閉塞の分類と原因

小腸閉塞は、その原因などによって以下のように分類できます。

機械的腸閉塞
  1. 閉塞性腸閉塞(単純性腸閉塞) 腫瘍による閉塞、炎症や瘢痕による狭窄、先天性の奇形、周囲からの圧迫、腸管の捻れ、術後の癒着、異物や食べ物での閉塞、寄生虫による閉塞など腸管が単純につまってしまうもの。
  2. 絞扼性腸閉塞(複雑性腸閉塞)索状物(紐のようなもの)で腸が締めつけられる、腸が捻れて、腸が結ばれるなどで、腸重積、ヘルニア嵌頓など、腸の血流が障害され、腸管が壊死を起こす重篤な状態であることが多い。
機能的腸閉塞
  1. 麻痺性腸閉塞腸炎、腹膜炎、薬剤、術後などの影響で、腸管の動きが悪くなるもの。
  2. 痙攣性腸閉塞腸管が一部、痙攣性に収縮して、内容が流れなくなるもの。

腹部の膨隆や嘔吐が出現

腸管の流れが滞り、内容物が腸管内に滞り、腸管が拡張し、徐々に口に向かってたまってくるため、張るような腹部全体の痛み、腹部の膨隆、吐き気、嘔吐が出現します。機械的の場合は排便や排ガスが出なくなります。機能性の場合は発熱、下痢などを伴うこともあります。

これらの症状は放っておくと数日で急速に進み、脱水によるショックなることもある。また、絞扼性の場合は腸管の血流障害が生じ、壊死を招いて、敗血症や消化管穿孔などを起こし、救命に速やかな外科的処置が必要になります。

レントゲンとCTで診断

特殊な検査はなく、下記のような一般的な検査で診断ができます。

レントゲン
拡張した小腸にガス像を認めます。
CT(コンピューター断層撮影)
腸管の拡張、腸管内容、腹水の有無、腸重積、絞扼の有無、血流障害の有無、閉塞部位など腸閉塞の原因の鑑別に役立ち、手術の必要性の判断にも極めて有用です。

腸閉塞の原因に対する治療

治療は原因により異なります。基本的に絶食、点滴による水分補給、胃腸に貯留した内容をイレウス管で吸引し、減圧します。原因によって手術、抗生剤治療、整復、内視鏡などあり、一部ですが以下にまとめます。

機械的腸閉塞
  1. 閉塞性腸閉塞(単純性腸閉塞)腫瘍、先天性の奇形、狭窄、腸管の捻れは手術、炎症は抗生剤治療、術後の癒着、異物や食べ物での閉塞、寄生虫による閉塞などは保存的治療で改善しないようなら、手術になることもあります。
  2. 絞扼性腸閉塞(複雑性腸閉塞)絞扼性腸閉塞は腸管虚血を伴うため、基本的に手術で原因を取り除く必要があります。腸管が壊死している場合は腸管切除、壊死まで及んでなければ閉塞の原因の治療(ヘルニアなら根治術、癒着なら癒着剥離など)を行います。
機能的腸閉塞
  1. 麻痺性腸閉塞腸炎、腹膜炎などは抗生剤や手術などで炎症の原因への治療を行います。薬剤性は薬剤投与で腸管の運動を促進します。
  2. 痙攣性腸閉塞痙攣性は鎮痙薬の投与などで治療します。
    保存的治療では閉塞が解除されれば、腸管の運動に合わせて、徐々に飲水、流動食、5分粥、全粥と食事形態を上げていきます。入院期間は1〜2週間程度です。その他は疾患により数日〜数週間の入院が必要になることもあります。

腹部に手術歴のある方は食生活に注意

原因のなかで最も多いのが術後の癒着性腸閉塞です。腹部の手術歴がある人は数%程度が腸閉塞になるリスクがあり、予防および再発予防には、食事をゆっくりよく噛んで食べる、水分をしっかりとる、暴飲暴食しない、消化に悪いものや、きのこ類、ごぼうやサツマイモなどの食物繊維の多いものを避けるなどの食事療法を実践しましょう。大建中湯という漢方が効果的ともいわれており、継続的に内服するという予防法もありますが、確実ではなく、症状出現時にすぐに受診することをお勧めします。

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