徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP 45th

病気の治療

medical treatment

消化器外科の病気:膵嚢胞性疾患

膵臓の内外に液体の入った袋が出現

膵臓は胃の裏側に位置する臓器で頭部・体部・尾部に分けられ、膵液という消化液を産生します。膵液は膵臓内の分枝膵管から中央の主膵管に流れ、最終的に十二指腸内に到達し食べ物の消化を助けます。

嚢胞(のうほう)とは液体の入った風船のような袋のことであり、膵臓の中もしくはその周囲にできた嚢胞を膵嚢胞と呼びます。多くの場合、無症状であり、画像診断の進歩により健診などで偶然発見されるケースが増えてきました。大きさは数㎜程度の小さなものから10cmを超えるものまでさまざまであり、1個だけの場合もあれば複数個認める場合もあります。

がん化の可能性があるIPMN

膵嚢胞は、腫瘍性嚢胞と非腫瘍性嚢胞に大きく分けられます。さらに前者は膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、粘液性嚢胞腫瘍(MCN)、漿液性嚢胞腫瘍(SCN)など、後者は膵臓仮性嚢胞、リンパ上皮嚢胞などに分類されます。

膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)
膵管上皮から発生する腫瘍で存在する場所によって主膵管型、分枝膵管型、混合型に分類されます。腫瘍が産生する粘液が膵管内にたまって膵管が膨らんで嚢胞のように見えます。ほとんどが無症状ですが、膵管内の膵液の流れが悪くなると膵炎を引き起こし、みぞおちから背中へ痛みが起きることがあります。
IPMNは良性から悪性までさまざまな段階があり、長い年月をかけてゆっくりと進行していきます。発生の原因ははっきりしていませんが、慢性膵炎、肥満、喫煙、アルコール摂取などがリスクとして考えられます。
IPMNで注意する点は、「嚢胞自体ががん化することがある」点と「嚢胞以外の膵内に膵がんが発生することがある」点です。IPMNのがん化は年1%ほどといわれており、慎重な経過観察が必要で、また、通常型膵がんの発生を早期に発見することが大切です。後述の画像検査(造影CTやMRCP)、内視鏡検査(EUSやERCP)を組み合わせて経過をみていきます。
検査によって悪性所見が得られた場合、また悪性を強く疑う場合は手術治療が検討されます。
粘液性嚢胞腫瘍(MCN)
中年の女性に多く、粘液が貯留した嚢胞を形成し、悪性の可能性が高いため手術治療が勧められます。
漿液性嚢胞腫瘍(SCN)
中年の女性に多く、上述のMCNとは異なり良性の可能性が高いですが、大きさが増大するケースなどは手術治療を行う場合があります。
仮性膵嚢胞
膵炎や外傷後にできた嚢胞です。嚢胞の成分は膵液や壊死組織、炎症によって滲みだした液であり、小さい嚢胞であれば自然に消えることもありますが、しっかりした膜を持たないために液が貯留し続けて巨大化することもあります。
大きな仮性膵嚢胞によって腹痛を生じたり、細菌感染を引き起こすことがあります。また、膵液が強力な消化液であるため周辺の臓器や血管に影響をおよぼし、消化管に穴を開けたり、血管から出血する場合もあります。
大きな仮性膵嚢胞に対しては胃カメラを利用して、胃の中から嚢胞に管を通して嚢胞内の液を胃内に排出する治療が行われます。細菌感染を起こした仮性膵嚢胞に対して外科的手術を行うこともあります。

ERCPでは膵液採取で良悪性を診断

ERCPでは膵液採取で良悪性を診断

超音波検査
超音波を体にあてて行う検査で体への負担が少ない検査で、健診などでも行われます。膵臓の大まかな評価を行います。
腹部造影CT検査
造影剤を血管内に流し、嚢胞を含む膵臓全体を評価できる精度の高い画像検査です。
ヨードアレルギーの方には施行できないため該当する方は事前に申し出てください。
MRCP
MRI検査で嚢胞と膵管の関係を詳細に評価することができます。磁気を用いるためペースメーカーなど体内に金属が入っている方は検査を受けることができません。
ERCP
内視鏡を十二指腸の奥まで進め、膵管に管を通して造影剤を流すことで膵管と嚢胞の交通を直接評価することができます。膵液を採取することで細胞の良悪性を評価することができます。
超音波内視鏡検査(EUS)
先端に超音波装置を有した胃カメラを用いて、胃や十二指腸の中から超音波検査を行って膵臓の評価を行います。通常の超音波検査と異なり、骨・脂肪や消化管内の空気の影響を受けないため、詳細な評価が可能です。また、嚢胞内の組織や含まれている液体を採取し良悪性を評価することができます。

膵嚢胞性疾患は継続的な受診が大事

IPMNを代表とする膵嚢胞性疾患は慎重な経過観察が重要です。継続的な診療によって、早期の適切な治療につながります。膵嚢胞と診断された場合は経験豊富な施設への受診をお勧めします。

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