徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2025年(令和7年)06月09日 月曜日 徳洲新聞 NO.1495 1面

六地蔵総合病院
次世代型へリウムフリーMRI導入
AIも搭載「MAGNETOM Flow.Plus」国内第1号機

六地蔵総合病院(京都府)は1.5テスラのMRI(磁気共鳴画像診断)装置「MAGNETOM Flow.Plus」を国内で初めて導入した。次世代型と呼ばれる“ヘリウムフリー”のタイプで、同製品にはAI(人工知能)も搭載。より患者さんの負担が少なく、高画質の画像が撮影可能だ。すでに300件を超える検査で使用。木戸岡実院長は「脳疾患を中心に、当院の診断力向上が期待できます。活用して地域に貢献していきたいと思います」と意気込む。

検査の質向上が期待

「安全面に細心の注意を払い地域に貢献します」と(左から)奥田鉄也・診療放射線技師係長、木戸岡院長、野口・副技師長「MAGNETOM Flow.Plus」。コンパクトなデザインも特徴のひとつ(写真提供:Siemens Healthineers)

MRIは血管や臓器の状態を確認するための医療機器。強力な磁場が発生している筒状の装置内で害のない電波を当て、体内にある水素原子の振動を検出することで体の断面を画像化する。

一般的に、撮影に必要な磁場を維持するには超電導磁石を超低温(マイナス270℃程度)に保たなければならず、その際に大量の液体ヘリウムを用いる。通常、装置内で冷却されているが、何らかのトラブルで磁場を落とす必要がある場合、液体ヘリウムを気化させて排気管から排気、磁石の温度を上げてから停止しなければならない。再稼働には、液体ヘリウムを補充しなければならず、一定期間、MRI検査が実施できないケースもある。

今回、六地蔵病院が導入した「MAGNETOM Flow.Plus」は、液体ヘリウムを使用しない、あるいは限りなく使用しない“ヘリウムフリー”と呼ばれるタイプ。ヘリウムが貴重な資源で価格も高騰していることから、次世代型MRIとして注目されている。

同装置は、液体ヘリウムの使用量がわずか0.7ℓ。密閉型設計により導入後のヘリウム補充が不要なほか、磁場の再立ち上げについても自動回復機能を完備し、安全かつ早急な復旧が可能だ。これにより、液体ヘリウムの管理にともなうスタッフの負担が大幅に軽減する。

AIを搭載している点も大きな特徴。各部位の位置を自動認識する機能などにより、最適な画像を撮影するためのプランを操作スタッフに提案する。これにより検査時間が短縮し、スタッフはもちろん、患者さんの負担軽減も期待できる。

同院は、昨年11月に20年近く使用していた0.4テスラのオープン型MRIが故障し、更新を検討。同じ機種を使用するメリットもあったが、より画像の質にこだわり、「MAGNETOM Flow.Plus」に決定した。木戸岡院長も「とくにMRA(脳血管を立体画像化する検査)などで画質に限界を感じていました。当院には常勤の脳神経外科医が5人在籍しているので、とくに脳に関する検査のクオリティアップにこだわりました。タイミングが良く、思ったより導入までの時間が短かったことも決め手のひとつです」と振り返る。

使用するためのトレーニングを事前に受け、4月14日に稼動。近隣の医療機関に対し院長自ら周知に努めたこともあり、すでに同機器による検査は300件超に上る。野口克己・診療放射線副技師長は「患者さんが装着するコイルも、従前より圧迫感がない仕様になっています。リラックスして検査を受けられたと好評です」と説明する。

1.5テスラと機器の磁力も大きくなり、高画質の撮像も実現。木戸岡院長は自院の診断力向上に期待を寄せる。「とくに脳卒中など急性期の脳疾患診断にも一層力を入れていきたい。診断力を磨き、PSC(一次脳卒中センター)関連など、当院も何らかの施設認定を目指したいと思います」。

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