徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

六地蔵総合病院(京都府) 院長
木戸岡 実(きどおかみのる)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

木戸岡 実(きどおかみのる)

六地蔵総合病院(京都府) 院長

2025年(令和7年)06月09日 月曜日 徳洲新聞 NO.1495

徳之島病院への応援で多くの学びを得る
自院の運営に早速取り入れ懸案事項改善
外来の活性化や病院機能評価受審に向け邁進

当院は2022年11月に徳洲会グループに入り、すぐにコロナ病棟に転用していた回復期リハビリテーション病棟を再開、23年4月以降、4病棟を1病棟ずつリフォームし24年4月から190床を運用、さらに看護師の充足により25年4月には199床が稼働に至りました。救急を断らない、許可病床を使い切る、をモットーに24年4月以降、黒字化を達成しています。日々、事業計画を意識し入院判定会議を行い、数日先までの入退院数を考慮して、救急搬入状況とのバランスで、受け入れ数を調整しています。今後は外来の活性化、病院機能評価受審に向け取り組んでいきます。

島の基幹病院としての役割を 限られた常勤医で果たす秘訣

25年3月下旬に1週間、徳之島徳洲会病院の応援に参りました。全国セミナーで離島の院長先生方が、3月度セミナーの時期は研修医が年度末で少なくなるため参加が厳しいと聞き、その頃に少しでもお役に立てればと思ったのがきっかけです。徳之島を選んだのは徳田虎雄・名誉理事長のルーツであり、徳洲会の発祥に深く関わる地だからです。空港に到着後、新病院建築現場に向かいました。途中、鬱蒼とした森の道で急に停車、案内されたのは徳田先生が幼少期、発熱し苦しむ弟さんの往診を頼むため夜中に奔走した獣道でした。当時は真っ暗で、徳田少年は、さぞ心細かったのではと思いを馳せました。新病院は、ほぼ建ち上がり、楕円形で威風堂々としていました。

徳之島病院では多くの学びを得ました。最も勉強になったのは、限られた常勤医(6人)で地域の基幹病院(199床)としての役割を果たすための体制です。そこには、研修医や一定期間(1週間)滞在する外科医、毎週定期で勤務する鹿児島や周辺の離島病院の医師、週末などに勤務する応援医師が不可欠でした。研修医と指導医との連携、飛行機が飛ばず医師が来ない事態、船による転院への同行医師の手配など、離島特有の環境も見聞きしました。

月間手術数80件以上も驚異でした。当院の倍以上です。看護師3人でやりくりしている手術室師長に秘訣を伺いました。看護助手にできるだけ多くの作業をしてもらう、中材業務をなしにするなどです。整形外科手術が多く、しかも土曜日の夜に行われます。術者1人で骨頭置換術などがあり、看護師は手術助手、機械出し、外回りを担当、斜め出しで縫合し始めたら次の患者さんの入室へ、移動は病棟看護師に手伝ってもらっていると。

消化器外科症例の獲得には、内視鏡検査チームが血便や二次検診のフォロー体制に関与し、生検やポリペク後は必ず内視鏡医の夜診に結果説明を設定し、外科医とも情報共有、内視鏡治療チームとも連携していました。

ハード面では、検査オーダーにコストが括弧書きされている、入院申し込みは服薬指導や栄養指導にリンクしてあり、これらを入力しないと先に進めない、よりカスタマイズされた入院指示、リハビリ指示は項目がまとめてありPT+OTで一括入力でき、STを加えるかどうかだけですむ、点滴指示は末梢か末梢+精密のどちらかのみの選択と、シンプルでした。外来処置室のオープンな感じや表示のわかりやすさ、動線の良さもありました。

ソフト面では、外来看護師に指示漏れなどを指摘いただき、診療を支障なく行えました。当日検査が入りやすい印象、スタッフ全体のアットホーム感もありました。診察の予約は少なく随時受診ですが、患者さんの健康意識が高く途切れることなく通院されていました。訪問診療の多さも印象的でした。

早速、当院では、これまで懸案であった前日と当日入院患者さんの紹介や急変患者さんの情報確認を中心とした毎朝の医局ミーティングを導入、整形外科、眼科、泌尿器科手術数増加への取り組みを開始、健診センター受診や内視鏡検査後のフォロー体制の確認、消化器内科外来枠確保などを行いました。

徳之島病院は今秋に新病院開設 徳洲会の新たなランドマークに

徳之島では島の方々の包容力を感じました。また、何よりも職員が元気でハキハキしていたのが思い出されます。島の風景は最高の癒やしで、世界自然遺産への登録理由として納得しました。今秋に新病院が開院し、徳洲会グループの新たなランドマークになることを祈念します。ひとりでも多くのスタッフが離島医療を応援できるよう、皆で頑張りましょう。

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