2020年(令和2年)6月22日 月曜日 徳洲新聞 NO.1241 四面
成田富里病院
増床活用し療養病棟開設
許可病床122床増え407床に
成田富里徳洲会病院(千葉県)は6月1日付で許可病床が285床から122床増え407床と大幅に増加した。増えた病床を活用し療養病棟(医療療養病棟、54床)を新たに開設。同院は救急搬送の受け入れに尽力するなど急性期病院として地域医療に貢献する一方、回復期リハビリテーション病棟や病院併設型の介護老人保健施設を同院建屋内に開設するなど、多機能化を推進している。今回開設した療養病棟を有効に活用しながら、今後も幅広い患者さんの受け入れニーズに応え、地域医療の向上に一層貢献していく考えだ。
市内唯一で一定のニーズ
「増えたベッドを地域のために有効活用」と荻野院長
成田富里病院はこれまで計285床の病床を有し、一般病床277床(急性期一般病棟235床、回復期リハビリ病棟42床)、HCU(高度治療室)8床という構成だった。今回の増床後、一般病床287床(急性期一般病棟245床、回復期リハビリ病棟42床)、HCU10床、療養病棟54床。増床したベッドを活用し新たに療養病棟を開設した。許可病床407床のうち稼働病床は351床で、残りの56床についても今後、稼働を目指す。
同院の荻野秀光院長は「当院が立地する富里市内には療養型の病院が以前はありましたが、昨年市外に移転したことにより、療養病棟を有する医療機関がなくなってしまいました。国は療養病床を削減する施策を掲げていますが、当地域ではこのような特別な事情があるため、療養病床に対する一定のニーズがあるのが実情です。増えたベッドを有効に活用し地域に貢献していきたい」と説明する。
キーワードは“地域完結型医療”と、それを支える“診療機能の多機能化”だ。同院は急性期医療だけでなく、2017年に回復期リハビリ病棟を開設、18年には同院の10階と11階に計200床の介護老人保健施設成田富里徳洲苑をオープン。急性期から回復期、介護までと機能の拡充を進めてきた。
急性期治療を終えた後、そのまま自宅に戻るのが難しい患者さんもいる。リハビリに取り組むことで機能改善を期待でき、在宅復帰を狙える患者さんは急性期病棟から回復期リハビリ病棟に転棟し、しっかりとリハビリに励んでもらう。他方、継続的に医療処置を行う必要があり、入院施設で、ある程度長期間の療養が必要な患者さんは療養病棟への入院となる。
「これまで当院には療養病棟がなかったため、療養病棟への入院の適応がある患者さんがいた場合、市外の医療機関に紹介していました。しかし、これからは院内で対応できます。地域の患者さんにご不便がないよう、当地域の患者さんを積極的に受け入れていく方針です。これからも時代によって変化するニーズを的確にとらえ、病院の機能拡充を図りながら選択肢を充実させ役割を果たしていきたい」(荻野院長)
たとえば地域の介護施設で発生した誤嚥(ごえん)性肺炎などによる急変患者さんのようなケースでは、入院期間は比較的長くなることが想定され、療養病棟が適切な受け皿として機能すると考えられる。
“断らない救急”が評価 病床の増加スムーズに
高度な手術をより安全に実施できるハイブリッド手術室
療養病棟は、入院する患者さんの重症度の割合によって2段階のランクがあり、同院は高いほうのランクに分類される。重症度は、それぞれ3区分ある医療区分(1~3)とADL区分(1~3、ともに数字が大きいほど重症)の組み合わせで決まり、医療区分2と3に該当する患者さんが全体の8割以上を占めなければ高いほうのランクには認められない。
病院の増床などを行う場合、地域の医療関係者が委員として参加する地域医療構想調整会議で議論を行うこととなっている。荻野院長は日頃から地域の医療関係者と顔の見える関係づくりに積極的に取り組んできたことなどにより、増床についてスムーズに合意が得られた。「開院以来、一次、二次救急のたらい回しがないよう、“救急は断らない”という姿勢で医療に取り組んできたことを評価していただいたのではないでしょうか」と荻野院長は振り返る。
同院は急性期機能も目覚ましい発展を遂げている。18年にはハイブリッ成田富里徳洲会病院(千葉県)は6月1日付で許可病床が285床から122床増え407床と大幅に増加した。増えた病床を活用し療養病棟(医療療養病棟、54床)を新たに開設。同院は救急搬送の受け入れに尽力するなど急性期病院として地域医療に貢献する一方、回復期リハビリテーション病棟や病院併設型の介護老人保健施設を同院建屋内に開設するなど、多機能化を推進している。今回開設した療養病棟を有効に活用しながら、今後も幅広い患者さんの受け入れニーズに応え、地域医療の向上に一層貢献していく考えだ。市内唯一で一定のニーズド手術室を開設。これは、心臓や脳の血管撮影などに対応した高性能のX線透視装置を備えた手術室。大動脈ステントグラフト内挿術など高度な手術を、より安全に実施するのに寄与する設備だ。また今年4月に心臓血管外科の常勤医が着任し緊急対応の機能がさらにアップ。脳動脈瘤(りゅう)に対するコイル塞栓術などを得意とする脳神経外科医師による手術もスタートするなど、年々進化している。