徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2020年(令和2年)6月8日 月曜日 徳洲新聞 NO.1239 四面

読み解く・読み得“紙上医療講演”㉟
禁煙外来で上手に禁煙

「喫煙は新型コロナウイルス肺炎重症化の最大のリスクです」―。日本呼吸器学会が4月20日、このような声明を出しました。全国で緊急事態宣言が解除され、”新しい生活様式“が推奨されています。ウイルスと共存しながら毎日の生活を取り戻していく”with コロナ時代“を迎えました。喫煙は全身のさまざまな疾患との関連がすでに知られていますが、新型コロナ対策の観点からも禁煙の重要性が高まっています。茅ヶ崎徳洲会病院(神奈川県)の佐藤信昭副院長が喫煙による影響や禁煙外来などを解説します。

佐藤信昭・茅ヶ崎徳洲会病院
(神奈川県)副院長(内科医)

米ハーバード大学などの研究グループによると、喫煙者は非喫煙者に比べて新型コロナ感染症の重症化リスクが1・4倍、ICU(集中治療室)に入るリスクが2・4倍、人工呼吸器を使うか、死亡するリスクが2・4倍にも上ります。中国・武漢市にある華中科技大学の研究グループによると、肺炎を起こすリスクは14倍です。

重症化しやすい理由は①一酸化炭素がヘモグロビンに取り込まれ、低酸素血症により心肺系に負担がかかる、②ニコチンの影響で肺血管の血流障害が起こり、酸素や栄養の運搬を阻害し免疫が低下する――など。また、新型コロナに感染すると血栓ができやすくなり、肺などの血管に詰まることで、状態の急変や重症化を引き起こすとも言われています。

一方、海外の調査結果をもとに、「喫煙者は新型コロナに強い」という真逆の意見が一部のメディアに見られましたが、エビデンス(科学的根拠)のない言説であり、信頼に値しません。

そもそもニコチン、一酸化炭素、タールの三大有害物質を含むタバコは、全身に悪影響を及ぼします。各種がん、脳梗塞など脳血管疾患、虚血性心疾患、腹部大動脈瘤(りゅう)、末梢(まっしょう)動脈硬化症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺気腫など呼吸器疾患、糖尿病(インスリンの働きを妨げるため)など挙げればきりがないほどです。受動喫煙も同様ですが、喫煙者が吸う主流煙よりも、副流煙に含まれる有害物質の濃度のほうが高いことが知られています。電子タバコもニコチンなど有害物質を摂取するので、人体に害悪であることは何ら変わりません。

喫煙は動脈硬化の原因のひとつです。また、糖尿病も動脈硬化を引き起こします。空腹時血糖値と食後血糖値の差が大きいと、血管はダメージを受け動脈硬化が進みます。そのため私は糖尿病外来にも力を入れ、糖質制限による糖尿病治療を実践しています。

ニコチン依存症の判定テスト(TDS)

これを機に禁煙を始めようと思った喫煙者の皆さん。いつ始めても遅すぎるということはありません。60歳でやめても、喫煙を続けた場合より3年は寿命が延びるとされています。しかし長年の習慣を断つのは難しいものです。自信のない方は禁煙外来の利用をお勧めします。禁煙したい意思があり、表に掲げたテストで5点以上を取りニコチン依存症と判定され、1日の喫煙本数×喫煙年数が200以上の方は禁煙外来の適応があります。

禁煙外来では禁煙補助薬のチャンピックス(一般名:バレニクリン)を服用しながら、12週間で禁煙を目指しますチャンピックスはニコチン切れによる離脱症状を抑え、タバコをまずく感じるようになる薬です。

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