2020年(令和2年)6月8日 月曜日 徳洲新聞 NO.1239 三面
徳洲会介護部門 IT活用しサポート
オンライン面会 お見舞いメール
老健中心に順次導入
徳洲会グループ介護部門はIT(情報技術)を活用し、施設に入居している利用者さんと家族とのコミュニケーションを支援している。新型コロナウイルス禍で面会制限が長期に及んでいることから、双方の不安軽減が狙い。オンラインでの面会など、介護老人保健施設(老健)を中心に順次、システムを導入している。
利用者さん・家族へ安心感
オンライン面会で「顔が見られて安心」と利用者さん
オンラインによる面会をいち早く導入したのは老健リハビリケア湘南かまくら(神奈川県)。無料通話アプリのビデオ通話機能を活用するかたちで、4月3日に開始した。
具体的には、受付と利用者さんの居室がある3、4階のスタッフステーションに1台ずつタブレット型端末を配備。来所した家族は受付で、面会相手の利用者さんはスタッフステーションでスタッフ付き添いの下、端末の画面越しに相手の顔を見ながら会話する。利用できる時間帯は平日の午後1~4時の3時間で、1組当たり15分が目安。前日までに予約が必要。
これまで週に10~15組、計約120組が利用し、いずれも好評だという。システムを管理する西山泰之・介護主任は「新型コロナウイルスの影響で、外出やイベントができず、利用者さんにストレスが感じられたことから、オンライン面会を始めることになりました。端末操作や個人情報などの観点から、施設内で端末を使用するスタイルにしました」と説明する。
舩木美紀子・主任介護支援専門員は「面会ができないことを伝えると、不安を訴えるご家族もいます」と指摘し、「認知症などで、たとえ会話が成立しなくても『顔を見て安心しました』という声をご家族から多くいただいています」。
オンライン面会の実施を決断した磯和祐喜子・看護師長は「なかには涙を流す利用者さんもいて、実施して良かったと思っています」と笑顔を見せる。同じシステムを特別養護老人ホーム(特養)かまくら愛の郷(神奈川県)、特養逗子杜の郷(同)でも実施中だ。
お見舞いメールは、もともと病院向けに徳洲会インフォメーションシステム(TIS)が開発したシステムを転用したもの。パソコンやスマートフォン、タブレットなどで当該施設のホームページからアクセスし、所定の項目と利用者さんへのメッセージ(1000文字以内)を入力して送信。写真を1枚添付することも可能だ。受信した施設は専用の画面で内容を確認後、25種類のデザインから台紙を選んで印刷し、専用の封筒に入れて利用者さんに渡す。システムには差出人に返信する仕組みや、メッセージの渡し漏れを防ぐため対応状況を示す機能も搭載している。
お見舞いメールの例。さまざまなデザインの台紙に印字が可能
最初に導入したのが老健かまくら(神奈川県)。5月28日に本格稼働、1週間ほどで22通のメッセージが寄せられた。芦田翔・事務局副主任(支援相談員)は「遠方の方でも気軽に利用できますし、写真を添付できる点もすごく良い。メッセージはもちろん、ご家族やペットなどの写真を見て、どの利用者さんも喜んでいます」と目を細める。
老健かまくら以外では、老健静岡徳洲苑、老健成田富里徳洲苑(千葉県)、老健はさま徳洲苑(同)、老健武蔵野徳洲苑(東京都)、老健リハビリケア湘南厚木(神奈川県)、特定施設みやとく(沖縄県)が、お見舞いメールを導入している。
徳洲会介護部門はグループの方針として、引き続き従来の居室での面会を原則禁止する旨の通知を発信。6月以降も、これらのシステムの積極的な活用を推奨し、直接的な面会を行う場合は一定の要件を設けている。