徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2020年(令和2年)2月17日 月曜日 徳洲新聞 NO.1223 一面

中部徳洲会病院
テロ想定し大規模訓練 14機関から計170人参加

中部徳洲会病院(沖縄県)は近隣の大型ショッピングモールで爆弾テロが起きたとの想定で対応訓練を行った。これは同院の企画発案によるもので、同地域でテロを想定した訓練は初の試み。同院のほか警察や消防、近隣の医療機関など計14機関から総勢170人超が参加。テロにより局所的に発生した多数の傷病者に対し、各機関がどのように連携し、どのように対応するか、同院が用意したシナリオに基づき実施した。

爆発音で耳が聞こえない前提も

「テロはいつ起きてもおかしくない」と伊波院長「テロはいつ起きてもおかしくない」と伊波院長

中部徳洲会病院は2017年に沖縄県から地域災害拠点病院の指定を受けた。同指定病院には地域を巻き込んだ防災訓練の実施が期待されており、この一環として同院はテロ対応訓練を企画。これを地域の医療機関はじめ、警察や消防などに相談したところ興味を示し、多くの機関が参加することになった。

同院の災害対策委員のひとりである眞玉橋顕一事務長は「テロは局所災害のひとつでもあり、特別な状況下で多くの傷病者に対応する訓練が必要だと考えました」と意図を説明。テロが起こるリスクが高いのは人の集まるところと考え、今回は近隣の商業施設で爆弾テロが起きたとの想定でシナリオを作成した。

「爆発現場で特殊メイクをした傷病者役を迅速に救助爆発現場で特殊メイクをした傷病者役を迅速に救助

傷病者役は北中城村役場、北中城村観光協会などが協力し44人が担当。外国人観光客が多い土地柄であるため日本語だけでなく、英語、中国語、韓国語、スペイン語しか話せない人物も設定、爆発音により鼓膜が破れて耳が聞こえなくなるなど細かい状況を決めた。傷病者役は訓練開始前に特殊メイクを施し、災害対策委員のメンバーから演技指導を受けた。

訓練は昨年11月30日に実施。開会式で同院の伊波潔院長は「20年には東京オリンピックが開かれ、海外からも多くの方々が日本を訪れると思います。このような時期だからこそ、警備の薄い地方都市でテロが起こる可能性が十分に考えられます。病院としても通常診療から災害対応モードに素早く切り替え、多くの傷病者に対応できるよう、しっかり準備したいと思います」と決意表明。

続いて新垣邦男・北中城村長が「地域の関係機関が一堂に会して、このような大規模な訓練を実施できるのは意義深いことです」と挨拶した。

救護所でトリアージを行い処置や搬送など実施救護所でトリアージを行い処置や搬送など実施

訓練は同院に隣接する外来駐車場を商業施設に見立て、犯人役が爆弾を投げ付けるところからスタート。通報を受け駆け付けた警察官が犯人を取り押さえ、安全を確認したうえで、消防隊が傷病者の救助を始めた。傷病者役は与えられた設定に従い迫真の演技を披露。

現場では中城北中城消防本部が指揮をとった。爆発物によるテロという状況から、現場に救護所を設置するのは危険性が高いと判断、最寄りの同院駐車場に設置した。近隣の消防や医療機関に応援要請をしたうえで、トリアージ(重症度・緊急度選別)を実施、救急車やドクターカーで傷病者を救護所に搬送した。

同院だけで対応しきれない傷病者は、近隣の医療機関にも転送、さらに重症傷病者を運ぶ想定で、沖縄県ドクターヘリの離着陸訓練も行った。また、院内には同院の災害対策本部を立ち上げ、伊波院長が指揮をとった。

すべての傷病者に対応しきれないまま、タイムリミットで訓練終了。閉会式で伊波院長は「初めてのテロを想定した訓練だったため、うまくできなかったこともありますが、だからこそ改善点も見つかると思います」と意気込みを見せた。

「想定外の事態に対応するスキルが必要」と村上医長「想定外の事態に対応するスキルが必要」と村上医長

続いて、同訓練の総合的なマネジメントを担当した同院の村上大道・集中治療部医長が総括。「テロを想定したことで、いくつか評価ポイントを設けました」と明かし、そのひとつとして、トリアージをSALT法で実践できたかどうかを評価。これはSort-Assess-Lifesaving interventions-Treatment and/or Transport(並び替え‐評価‐救命処置‐搬送)の頭文字で、大災害やテロなど大勢の傷病者が出ている場合に用いられる。

また、現場がホットゾーン(被爆地)となり、危険が潜んでいる可能性を考慮し、すぐに離れた救護所に傷病者を運び、適切な対応ができたかどうかも評価。村上医長は「救急隊もドクターカーで駆け付けた医師や看護師も、医療従事者の〝性〟として、どうしても現場で処置をしたくなってしまったようで、ホットゾーンにとどまる時間が長かったように感じます」と指摘した。

最後に「傷病者に対応している途中、想定外の事態が起きた時、スピード感をもって関係機関との情報交換や人員の再配置を行い、体制を立て直していかなければいけません」と村上医長はアドバイスを送った。

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