
直言
Chokugen

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直言 ~
稻邊 富實代(いなべふみよ)
榛原総合病院副院長(静岡県)
2020年(令和2年)2月17日 月曜日 徳洲新聞 NO.1223
2018年1月、徳洲会グループ内に健診部会が新たに発足しました。それまでグループの健診センターは、各病院ごとにメニューも検査項目も診断基準も結果報告書もばらばらだったため、一般社団法人徳洲会の鈴木隆夫理事長の大号令の下、統一化に向け立ち上がったのです。
初代部会長の大役を拝命した私は「鈴木理事長に申し訳ないことだけは絶対にしたくない」との思いを抱きました。ところが、思いは強いものの、重症者も多い80人の受けもち患者さんへの対応、父の危篤などもあって、私ができたのは①かつて東京の大手人間ドック専門機関に在籍し、日本人間ドック学会理事長はじめ学会幹部の先生方から直接、学んだ知識・ノウハウや、多くの健診会社の実態を知っているからこそわかるさまざまな情報などの提供、②長年の夢であった大企業の本社に健診部会として営業をかけ、全国の支社の社員の人間ドックを最寄りの徳洲会病院で受けてくださるように交渉、③自分なりのビジョンを部会のたびに吐露――したことでした。実際の膨大な作業は、すべて部会のメンバーと関係者の方々が担ってくださり、いつも感謝の念で頭が下がりました。
おかげで、ついに全グループ病院の統一メニューが完成。これは、全国規模で展開するような企業への営業や人間ドック・健診の結果をビッグデータとして活用することなどに有効と考えます。
また、自分の健診結果をスマホで見ることができる画期的なPHR(Personal Health Record)もこのたび完成しました。 徳洲会グループの人間ドック・健診事業は新たなステージに歩を進めたと言えるでしょう。
私が今回、筆を執らせていただいたのは、グループ病院の四役をはじめ職員の皆様に、健診センターに対するご理解とご協力をいただきたいからです。
人間ドック・健診の価値はふたつあると思います。
ひとつは予防医療の推進です。年を重ねてもQOL(生活の質)を維持・向上し、日々楽しく過ごすには予防が欠かせません。それは崩壊の危機に瀕する超高齢社会の日本の医療を守ることにもつながると考えます。
私は苦労しながら医療経営士1級を取得し、今、介護福祉経営士1級を目指しています。学べば学ぶほど、国民を幸せにしながら健全な形で医療費を抑制する道は、予防医療に他ならないと強く感じています。病院でそれを司る部門が健診センターです。
もうひとつは経営的価値です。今はかなり回復しましたが、私は大垣徳洲会病院と榛原総合病院のどん底の時代を知っています。かつて両院は大半の診療科が赤字。しかし、そのなかでも健診センター、透析センター、療養病棟だけは両院とも黒字でした。
19年4~8月(平均)の徳洲会グループ全体の科別損益を医業利益率で見ると、1位は療養病棟30%、2位は透析センター25%、3位は健診センター17%となっています。
病院を経営するうえで、こうした健診センターの価値にぜひ目を向けていただきたいと思いますが、隆盛な健診センターから伸び悩む健診センターまで、「役割や価値が病院内で正しく理解されていない」との声が漏れ聞こえてきます。これでは宝の持ち腐れです。健診センターは伸ばせば伸びる、磨けば光る、まさに宝の山です。
私が赴任した10年7月、大垣病院は1日の人間ドック0~2人、月間30人前後でした。ところが今や月間500人を超える月もあり、大規模病院ではトップクラス。なぜ、こんなに大化けできたのか――。
それは、地域に赴き健診の大切さや自院の健診センターの良さを伝えようと営業に努めたからです。その営業努力が今日につながったのです。どんなに厳しい状況に見えても、やれば必ず伸びます。
「うちは、これ以上伸ばせない」といった声もあるかもしれません。しかし、足りないのは何か、人か、設備か、スペースか。足りないものを補うことで、必ず大きく成長するはずです。病院四役の皆さん、何も考えないで健診センターをおろそかにしていると、チコちゃんに叱られますよ。「ボーっと…!!」。
皆で頑張りましょう。