徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2019年(令和元年)10月7日 月曜日 徳洲新聞 NO.1205 三面

モーニングレクチャー
腰痛と漢方薬に関し院長らが知識を共有

文科省からの設置認可を報告する荒賀室長 「腰痛診療戦略ABCを覚えてください」と前田・名誉院長

セミナー2日目の早朝に、病院長ら幹部が研鑽(けんさん)する第15回モーニングレクチャーを開催した。最初に名古屋徳洲会総合病院の前田徹・名誉院長兼整形外科部長が「整形外科のcommon disease ~腰痛について~」と題し講演。腰痛は3つのカテゴリーに分類されるとし、①重篤な疾患にともなう腰痛(全体の約1%)、②特異的脊椎(せきつい)疾患にともなう腰痛(全体の約20%)、③深刻な原因のない腰痛(全体の約80%)――を挙げた。

まず、危険な腰痛と神経症状を見逃さないよう、解離性大動脈瘤(りゅう)や内臓がんなど早急な対応を要する疾患を除外する。次に足のしびれ、歩行の可否など下肢の神経症状を調べ、神経症状があれば手術が必要な脊椎疾患などを疑う。そうでなければ保存療法や薬物療法、理学療法で治療可能となる。前田・名誉院長は「腰痛診療の戦略はAlert、Becareful、Conservativeという順で覚えてください」とまとめた。

日高徳洲会病院(北海道)の井齋偉矢院長はモーニングレク2回目の登壇。前回は漢方薬に関する概論を説明したが、今回は各論として「救急に使えるサイエンス漢方処方」をテーマに講演した。漢方薬はもともと速効性であり、救急対応にも有用であると強調。

漢方薬は速効性で救急対応にも使えます」と井齋院長 「漢方薬は速効性で救急対応にも使えます」と井齋院長

まず、めまい発作を例に挙げ、検査をする前に五苓散(ごれいさん)を2包飲ませることをアドバイス。五苓散は細胞レベルで水分調整を行っていることが明らかになり、科学的に作用機序が明確になっている漢方薬であると説明した。

急性ウイルス性胃腸炎では、桂枝人参湯(けいしにんじんとう)の投与を推奨。ノロウイルスの場合、感染速度が早いため服薬間隔を1時間とし、治るまで継続する方法が有効であるとした。さらに、ICU(集中治療室)でのせん妄に対し、抑肝散(よくかんさん)を用いた研究を紹介。有効率は31%に著効、54%に有効という結果を示した。

井齋院長は「治療薬のオプションとして、救急医自身が漢方薬の処方を考えていただければと思います」と提案した。

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