徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2019年(令和元年)10月7日 月曜日 徳洲新聞 NO.1205 二面

奄美群島長寿研究
特徴的な腸内細菌叢
徳之島徳洲会病院 藤田院長らが特定

9月度の徳洲会グループ医療経営戦略セミナーの初日、徳之島徳洲会病院(鹿児島県)の藤田安彦院長は「奄美群島に存在する長寿の島民の腸内細菌叢(そう)と健康状態の関係」をテーマに講演。藤田院長らは臨床研究で、奄美長寿者がもつ特徴的な腸内細菌叢を突き止めた。

9月度の徳洲会G医療経営戦略セミ

奄美長寿者の腸内細菌叢を解説する藤田院長 奄美長寿者の腸内細菌叢を解説する藤田院長

奄美地方は「長寿の島」とも呼ばれ、「独自の文化と食生活」に育まれた特徴的な腸内細菌叢が、奄美群島の長寿者の健康を支えてきた可能性に着目。奄美群島の郷土料理を多数紹介し、タンパク質、各種ビタミン、リノール酸、カルシウムなど多く含んでいるのが特徴であると説明した。

臨床研究は徳洲会グループ共同倫理審査委員会と岡山大学生命倫理委員会の承認を得て実施。徳之島徳洲会病院、名瀬徳洲会病院、喜界徳洲会病院、瀬戸内徳洲会病院(すべて鹿児島県)のいずれかに通院または入院経験がある奄美長寿者を対象とした。同意を得た95歳以上の44人(女性40人、男性4人、平均年齢98・3歳)から採取した糞便を試料として、16SrRNA遺伝子(V3-V4可変領域)の相同性解析に基づく腸内細菌叢解析を行った。さらに奄美長寿者の健康状態をもとに層別解析を行い、奄美長寿者の腸内細菌叢の特徴と健康状態との関係を検討した。

その結果、国内の既知のデータと比較し奄美長寿者の腸内細菌叢は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属、メタノブレビバクター(Methanobrevibacter)属、アッカーマンシア(Akkermansia)属の細菌が比較的高い占有率を示していることがわかった。また奄美長寿者の腸内細菌叢は比較的高い多様性を有していた。

一方、健康状態の悪化にともない、多様性が減少するとともにビフィドバクテリウム属、アッカーマンシア属、フィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属、プレボテラ(Prevotella)属の細菌の占有率が低下し、メタノブレビバクター属、エガセラ(Eggerthella)属の占有率が増加していることが確認できた。

藤田院長は「奄美長寿者の腸内細菌叢で、健康状態の悪化にともなって占有率が増加あるいは減少する菌属があることなどが判明しました。これらの特徴が奄美群島の健康長寿に寄与している可能性があります」と考察した。

この研究成果を第19回日本抗加齢医学会総会、第23回腸内細菌学会でそれぞれ発表し、参加者から大きな注目を集めた。奄美長寿者を対象にした腸内細菌叢の研究は初めてで、今後は同群島内の各年代の腸内細菌叢との比較解析を行い、奄美長寿者と腸内細菌叢との関係をより明確化する方針。

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