2019年(令和元年)7月15日 月曜日 徳洲新聞 NO.1193 三面
ブランディング構築へ
徳洲会栄養部会
全国責任者研修を開催
徳洲会グループ栄養部会は6月15日から2日間、成田富里徳洲会病院(千葉県)で2019年度全国責任者研修を開催した。管理栄養士に加え今回初めて調理師が参加。参加者数は91人に上り、ブランディングや標準化をキーワードに今後の栄養部会や各施設の栄養部門の運用を確認・協議したり、栄養関連の法制度などを学んだりした。
「標準化やブランディングは協力し合うことが大切」と鑓水部会長
運用については初日の冒頭、部会長の鑓水弘樹・一般社団法人徳洲会(社徳)栄養部長が「責任者に必要なスキルと資質~部会が目指すもの」と題し講義。
このなかで栄養部会のブランディングに言及。①グループ全体のビジョンが考えられる(応援体制、経営管理、マーケティングなど)、②院内の他部署とのコミュニケーション(チーム医療など)、③見える化(人員体制、取り組み、損益、サービスなど)、④組織が求めていることにスピード感をもった対応(原価、臨床、目標など)、⑤患者さん視点のアウトカム(献立内容、おいしさ、栄養管理など)――の5項目に取り組み、部会の存在意義・存在価値を高める意向を明かした。
具体案のひとつとして原価管理と献立管理を提示。原価管理では取引額の大きい食材の統一・標準化を図り、業者を絞ることで価格や受発注ラインなどを単一化する方針を打ち出した。また、業者との価格交渉などは社徳が行い、相見積もりなど現場の負担軽減を図る意向だ。
献立管理ではメニューの統一化に言及。地域性や各職員・病院の個別性などから「現状では困難」としながらも、使用食材の集約化による施設間の原価差解消、応援や異動時の発注業務や給食管理帳票に対する標準化、ベンチマークによる栄養管理の向上といったメリットを強調し、ソースや付け合わせなど一部分からでも統一化を進めていくことを示唆した。臨床栄養については学会発表などが少ない現状を指摘、積極的に取り組むよう呼びかけた。
病院規模別に業績を示し、目標管理や職員配置の重要性も訴えた。
分科会で忌憚のない意見を交わす参加者(写真は病院分科会)
このほか部会内に設置している電子カルテ・システムワーキンググループ(WG)が給食業務のマニュアルや業務量報告システムの統一、臨床栄養WGが栄養管理を行ううえでの指標の統一、教育研修WGが教育機会の拡充、栄養部会版のラダー(段階的な教育指標)構築など状況報告・方針説明を行った。なかでも学会発表については超規模・大規模施設は1施設2演題、中規模・小規模施設は1施設1演題の発表を目標に設定。21年3月に京都府で開催予定の食事療法学会では、関西・大阪ブロックの全施設が演題を提出する予定。
病院、介護、調理をテーマとした分科会も実施。課題などを話し合うなか、初開催の調理分科会では各ブロックを代表する調理師が集まり、マンパワーの確保や教育などについて議論した。今年度の料理コンテストの方向性についても協議し、主食のテーマや分量などの限定、予選の開催などについて多様な意見が飛び交った。
一方、法制度については大阪樟蔭女子大学の赤尾正・健康栄養学部健康栄養学科准教授が「管理栄養士に望まれる課題」と題し、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をふまえ院内約束食事箋規約の運用や改定のポイントなど解説。社徳の岸良洋一・事務部長は「診療報酬と管理栄養士」と題し、医療監視の対応や診療報酬などについて説明した。このほか社徳の八木圭太郎・法務部部長が「責任者に必要な指導と危機管理」と題し、ハラスメントなどを注意喚起した。