2018年(平成30年)8月6日 月曜日 徳洲新聞 NO.1145 二面
モーニングレクチャー
血液疾患コンサルトと
免疫CP阻害薬を学ぶ
血液疾患の診断などポイントを説明する田中院長
徳洲会病院の院長らを対象にモーニング・レクチャーを行った。葉山ハートセンター(神奈川県)の田中江里院長と宇治徳洲会病院(京都府)の竹田隆之・呼吸器内科部長が講師を務めた。田中院長は「みんな苦手な血液疾患 いつコンサルトするか?」と題し講演。①鉄欠乏性貧血、②高齢者の貧血、③各血球異常のポイント――の3つのテーマを解説した。
①では、診断の流れや治療のポイントを提示。鉄剤の効果が得られなかった時に萎縮性胃炎などを次の鑑別として考える。また国際結婚の患者さんの場合などではサラセミア(東南アジアに多い先天性の血液疾患)も鑑別に挙がることを示した。②では、原因を栄養障害(鉄など不足)、慢性腎不全・慢性炎症、不明の3つに大別できるほか、原因が複数の場合もある点を強調、問診の重要性を訴えた。③では、白血球や赤血球が多い時・少ない時に内科医や専門医に声をかけるタイミングを解説した。
竹田部長は免疫チェックポイント阻害薬を解説
竹田部長は「非小細胞肺がんにおける免疫チェックポイント阻害薬の位置づけ」がテーマ。同阻害薬は、がん細胞が腫瘍免疫から逃れようとするのを阻止し、がん治療の第4の柱として注目されている。
まず、ここ20年間の抗がん剤の進歩を強調。そのうえで、非小細胞肺がんに対する分子標的薬について解説した後、免疫チェックポイント阻害薬を説明。メカニズムや現時点での使い分け、効果を評価するタイミング、投与を継続する期間などを示唆した。
竹田部長は「肺がんは依然として難治がん」としながらも、状況に応じて手術、放射線療法、化学療法、免疫療法を適切に使い分ければ「根治が不可能な患者さんにも恩恵がもたらされる時代」と指摘。薬物療法についても、がんの組織型や遺伝子変異などに応じ適切に施すことで「恩恵が十分に期待できる」とし、そのためにも「最新のエビデンスを理解して対応することが肝要」と注意を促した。