2018年(平成30年)8月6日 月曜日 徳洲新聞 NO.1145 一面
榛原総合病院
看看連携を強化へ
地域包括ケア実現が狙い
「顔の見える関係ができ、具体的な連携につながっています」と大井・副看護部長
榛原総合病院(静岡県)は、地域の異なる領域の看護職同士の連携(看看連携)を強化するため、同院が所在する牧之原市、隣接する吉田町の医療機関や介護施設とともに「お茶の香みらいく」の名称で、看護職の連携ネットワーク構築に向け活動を開始した。
要介護状態となっても住み慣れた地域で、一人ひとりが自分らしい暮らしを最期まで続けられるようにする地域包括ケアシステムの実現が狙いだ。
この活動は、静岡県看護協会による「看看連携を基盤とした地域包括ケア推進支援モデル事業」のひとつとして実施する。
お茶の香みらいくは、お茶処である地域特性や明るい将来イメージを込めてネーミング。病院や特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム、小規模多機能型居宅介護など介護施設に加え、行政からも市町の福祉課が参画した。
お茶の香みらいくの代表を務める榛原病院の大井陽江・副看護部長兼患者支援センター長は「これまで多施設間の看護職の連携は積極的には行われてきませんでした。しかし、退院後も介護施設や在宅で医療処置を必要とするケースが増加し、また、看取り対応の体制を整えていく必要性が高まっています。地域全体の看護力の底上げのために多施設の看護職が集まり、連携しながら一緒に学んでいくことが活動の趣旨です」と説明する。
今年度は認知症と感染症に焦点を当て活動予定(写真は第1回集合研修)
3月に同院で事前看護代表者会議を開き、5月に第1回集合研修を開催した。約40人が出席した集合研修では参画施設の概要説明や近況報告に続き、同院の大石みどり感染管理認定看護師が「オムツ交換時の感染管理」をテーマに講義。その後、活動内容などについて議論し、喫緊の課題として今年度は認知症と感染症に焦点を当て、取り組んでいく方針を決定。
「顔の見える関係ができたことで、参加施設から当院に相談がくるようになりました。市の福祉課に所属する看護師資格をもつ職員が、当院訪問看護の同行研修を受けた後、『在宅で困っている患者さんやご家族がいるため、入院の受け入れをしてもらえますか』と連絡してきてくれたり、特養からは『嘱託医不在時の看取りの依頼や、ショートステイ(短期入所)での排泄(はいせつ)トラブルへの対応方法を教えてほしい』といった依頼が来たりするようになり、具体的な連携につながっています」(大井・副看護部長)
9月には同院で認知症の勉強会を行い、認知症ケアのひとつであるユマニチュードなどを学ぶ。