2017年(平成29年)11月6日 月曜日 徳洲新聞 NO.1107 三面
徳洲会心外部会
ピアレビュー推進
日本胸部外科学会
6演題の口頭発表も
徳洲会心臓血管外科(心外)部会は9月27日、第70回日本胸部外科学会定期学術集会の日程に合わせ札幌市で第3回集会を開催した。グループ12病院が参加し現状などを共有。特別講演として亞東記念医院(台湾)のChiu Kuan-Ming 心臓血管外科部長がMICS手術(低侵襲心臓手術)をテーマに講演。胸部外科学会では徳洲会から6演題の口演(口頭発表)があった。
心外部会のメンバーが情報を共有
徳洲会心外部会は、同部会長の大橋壯樹・名古屋徳洲会総合病院総長の挨拶で開会。続いてKuan-Ming部長が「MICS手術について」と題し特別講演。実際の手技や症例を紹介し「患者さん一人ひとりにベストな手法を選択すること、患者さんの立場になって学び続けることが大切です」とメッセージを送った。
次に大橋総長が「ピアレビュー案」を提案。これは心臓血管外科手術を徳洲会グループ独自のベンチマークと比較して評価、自院がもつ潜在的な課題を顕在化させ、医療安全や医療の質の向上を図るのが目的だ。評価項目として手術(難易度と手術時間の評価)、手術時の合併症(頻度)、輸血の有無(不要な使用頻度)などを列挙。東上震一・岸和田徳洲会病院院長は「評価項目の検討が必要ではありますが、良い取り組みです。今後、学会発表につなげられたら良いと思います」と実施に向け進める意向だ。
最後に、TAVI(経カテーテル大動脈弁置換術)やLVAD(植込み型補助人工心臓)など取得可能な認定を取ることは若手医師の育成のためにも必要であること、また新専門医制度では心外のみの研修は難しく、外科との連携が必要になってくることなど情報共有し閉会した。
学会活動も積極的
深井隆太 湘南鎌倉総合病院(神奈川県)呼吸器外科部長
胸部外科学会のパネルディスカッションで
「再発胸腺腫に対する積極的外科切除」と題し発表。再発胸腺腫に対する再手術は侵襲が大きいものの、切除後の予後は長く外科的切除を含めた積極的な集学的治療が予後の延長に寄与する可能性があると報告した。
大橋壯樹 名古屋徳洲会総合病院総長
ワークショップで
「冠動脈バイパス術における低侵襲化への試み」をテーマに発表。冠動脈バイパス術には有効性だけでなく安全、低侵襲が重要だと強調。①オフポンプ(心臓を動かしたまま手術)、②小切開(MICS)、③手術工程短縮(セクエンシャルバイパス)、④最小剥離(はくり)(ロボット支援)――などを応用し、症例ごとに対応することが重要とまとめた。
中村喜次 千葉西総合病院 心臓血管外科主任部長
ランチョンセミナーで
「安全性と簡便性を追求したMICSセットアップ」と題し講演。同院が行っているMICSセットアップ技術は、これまでに実施した352例の手術経験に基づくと報告し、皮膚切開や大動脈鉗子(かんし)の位置決め、動脈穿刺(せんし)、静脈カニューレ挿入にポイントを絞り解説した。
飯田浩司 名古屋病院副院長兼心臓血管外科部長
サージカルテクニック(外科的手技)セッションで
「漏斗胸(ろうときょう)に対するOpen Repair は時代遅れか?」をテーマに発表。漏斗胸(前胸部が陥凹する胸郭変形疾患)の手術として侵襲性の高いRavitch法や金属棒を用いるNuss法は、患者さんへのリスクが高いと指摘。胸肋(きょうろく)拳上術(SCE)に改良を加えた独自の術式の有効性を示した。
野口権一郎 湘南鎌倉病院 心臓血管外科部長
「オープンステントを併用した弓部置換における手術手技の工夫」。手術時間短縮で重要な要素は①循環停止時間の短縮、速やかな加温、② 吻合(ふんごう)部出血を極力抑えること、③良い視野での左鎖骨下動脈再建――の3点であると指摘。これらを経験症例に基づき解説した。
山部剛史 湘南鎌倉病院 心臓血管外科医長
「慢性B型大動脈解離破裂に対する血管内治療~偽腔(ぎくう)血流を制御する~」をテーマに発表。同治療は真腔(しんくう)からの単純なエントリー閉鎖のみでは不十分なことが多く、末梢側に存在するリエントリーから偽腔への逆行性血流を遮断する必要があると説明。これに用いたキャンディプラグ(端を絞ってキャンディ状にしたステント)の作成方法や実際の留置手技などを紹介した。