2017年(平成29年)11月6日 月曜日 徳洲新聞 NO.1107 四面
緩和ケア基本習得に多職種
八尾徳洲会総合病院が研修会
八尾徳洲会総合病院(大阪府)は9月23日から2日間、「PEACE」を開催した。主に医師を対象にした緩和ケアに関する研修会で3回目の開催。同院をはじめ徳洲会グループ内外から多職種約30人が参加し、座学やロールプレイ、グループワークなどを通じ緩和ケアの基本を学んだ。今回は規定のプログラム以外に特別講義も実施するなど、さらに内容を充実。会場には来年以降の開催を見据えた岸和田徳洲会病院(同)のスタッフが参加者、見学者として足を運んだ。
今回も多職種が参加し盛況の緩和ケア研修会(前列左から6人目が原田院長)
PEACEは国の方針に基づき、日本緩和医療学会や日本サイコオンコロジー学会などが開発した緩和ケア教育プログラム。①がんにともなって生じる苦痛に対し、緩和ケアの基本的な知識・技術・態度を習得し実践できる、②解決が難しい問題を抱え込まず、多職種で構成するチームにタイミングを含めて相談できる―を目標にしている。2日間の総講義時間は13時間。初日の講義開始前、2日目の最後にそれぞれテストも実施。
垣本医長はファシリテーターだけでなく司会も
八尾病院は2014年から3年連続で開催。今回も垣本佳士・外科医長が中心的にかかわり、進行役とともにファシリテーターのひとりを務めた。
講義は座学とロールプレイ、グループワークなどで行い、座学は緩和ケア概論、つらさの包括的評価と症状緩和、がん疼痛(とうつう)の評価と治療、呼吸困難、消化器症状(悪心・嘔吐(おうと))、精神症状(気持ちのつらさ、せん妄)、コミュニケーションの7項目。
参加者は緩和ケアが病期や治療の場所を問わずに提供されるべきものであることや、苦痛(つらさ)に焦点が当てられることを学んだ。また、がん性疼痛のメカニズムやスクリーニング方法、スクリーニング後の包括的な評価と適切な対応方法、症例をもとに痛みの評価方法や鎮痛薬の使用方法なども習得。薬物療法では具体的な薬剤を挙げ注意点を示すとともに、とくにオピオイド(医療用麻薬)の使用方法について重点的に学習した。呼吸器・消化器症状、精神症状は各症状の評価や対応方法を学んだ。
ロールプレイで不安な表情を浮かべ医師役に質問する患者さん役の原田・初期研修医(中央)
ロールプレイやグループワークは、がん性疼痛の事例検討、オピオイド開始時期、コミュニケーション、地域連携と治療・療養の場の選択の4項目。10程度のグループに分かれ、疼痛の評価と対応や在宅移行への進め方などを話し合ったり、3人1組に分かれ医師・患者さん・観察者役を交互に務め、オピオイドを始める際の説明や難治がんを伝える場面を演じたりした。最後にグループごとの発表も行った。
ファシリテーターのひとりである中井宏治・関西医科大学総合医療センター講師が特別講義も実施。自らのエピソードを交え、緩和ケアの重要性を説いた。
最後に垣本医長が表彰、原田博雅院長が修了証授与を行い研修終了。垣本医長は多職種が参加したことに目を細め「今後も緩和ケアを広めていきたい」と意欲を見せた。
グループワークではそれぞれ専門的な観点から多様な意見を出し合う
参加者の占部一彦・八尾病院歯科口腔(こうくう)外科部長は「いろいろな立場から緩和ケアについて考えることができました」と満足げ。ほかにも「がん患者さんとかかわる機会が今後必ずあると思い参加しました。ロールプレイなどもあり、楽しく学べました」(原田貴臣・同院初期研修医)、「リハビリテーションで、がん患者さんにかかわったことから参加しました。とくに医師の立場を疑似体験したロールプレイ、麻薬に関する講義は勉強になりました。日々のリハビリで生かしたいです」(西川真世・同院理学療法士)といった声が聞かれた。
原田院長は「今や単純なケア、あるいは医師や看護師など特定の職種だけで、がん患者さんをカバーできない」と指摘、「患者さんが出入りしやすい“窓”を多数整えておく」必要性を強調した。がん患者さんが過ごす場所も多様化すると予測。とくに在宅での対応を「大きな課題」とし、病院を挙げ積極的に取り組む意向を明かした。