徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2017年(平成29年)10月9日 月曜日 徳洲新聞 NO.1103 一面

徳洲会グループ共同倫理審査委員会
質の高い審査体制を国が認定
民間医療グループで初めて

一般社団法人徳洲会が設置主体である徳洲会グループ共同倫理審査委員会は、質の高い審査体制を整備している倫理審査委員会として、厚生労働省から8月31日付で認定を受けた。民間医療グループとしては初めて。これは2014年度に国が開始した倫理審査委員会認定制度構築事業によるもので、徳洲会の同委員会を含め、これまでに認定を受けたのは42委員会にとどまる。徳洲会グループは臨床医療に注力すると同時に、医療の発展に貢献するため研究活動にも力を入れている。

大学並みの研究実施体制

倫理審査委員会認定証 倫理審査委員会認定証

人を対象とした臨床研究に関しては、被験者の保護や研究の質の確保を図るため、国が「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」を14年に施行。研究者や研究機関の長の責務、研究計画書、倫理審査委員会の役割、インフォームドコンセント(説明と同意)、個人情報保護、有害事象への対応、信頼性の確保などに関する規定で構成されている。

同指針の適用対象となる医学系研究を実施する場合には、倫理審査委員会を開くことが求められる。倫理審査委員会には、倫理的・科学的観点から中立的かつ公正な審査を行う役割と責務がある。

厚労省は17年4月現在で全国に約1700の倫理審査委員会が設置されているものの、審査の質にばらつきがあるという指摘をふまえ、倫理審査委員会認定制度構築事業を開始。一定の倫理性・科学的妥当性を適切に判断する能力をもつ倫理審査委員会の認定を通じ、審査の質の向上を図るのが狙い。

書類審査・実地調査により、倫理審査の実施体制や審査状況などの確認を行い、指針にのっとって適切に運営されていると評価されれば認定を得ることができる。

初年度の14年度には9委員会、15年度は6委員会、16年度は18委員会、17年度は9委員会が認定を取得。ほとんどが大学や大学病院、国の研究機関が設置した倫理審査委員会で、徳洲会は民間医療グループで初の認定だ。認定期間は9月1日から20年3月31日まで。

認定取得の申請業務や書類審査・実地調査などに対応した未来医療研究センターの歌田直人・臨床研究管理部部長は「従来から徳洲会グループ共同倫理審査委員会による審査などを通じ、適切な研究活動の実施に努めてきましたが、今回、厚労省から認定を取得したことにより、大学並みの研究実施体制を備えていることを対外的に示すことができました」とアピールする。

幅広い研究活動を今後も継続的に実施していくうえで、今回の認定取得は大きな意味をもつ。臨床研究をめぐる実施環境は厳格化の流れが続いており、今年4月には“臨床研究法”が成立、公布(公布から1年以内に施行予定)。審査体制の一層の充実・強化が法律でも求められる見通しにあるためだ。

同法は臨床研究の実施手続きや資金提供に関する情報公表制度などを定めた法律で、臨床研究に対する国民からの信頼確保を図りながら保健衛生の向上に寄与するのが趣旨。「未承認・適応外の医薬品などを用いた臨床研究」と「製薬企業などから資金提供を受けて実施する当該製薬企業などの医薬品などの臨床研究」を特定臨床研究と定義し、同研究の実施者に対し、厚労省から認定を受けた「認定臨床研究審査委員会」の意見を聴き、実施計画書を厚労相に提出することを義務付けている。

人を対象とする医学系研究とは

人(試料・情報を含む)を対象として、傷病の成因(健康に関する様々な事象の頻度及び分布並びにそれらに影響を与える要因を含む)及び病態の理解並びに傷病の予防方法並びに医療における診断方法及び治療方法の改善又は有効性の検証を通じて、国民の健康の保持増進又は患者の傷病からの回復若しくは生活の質の向上に資する知識を得ることを目的として実施される活動をいう。(文部科学省、厚生労働省『人を対象とする医学系研究に関する倫理指針』より抜粋)

ここでポイントになるのが認定臨床研究審査委員会の要件だが、現時点で詳細は固まっていない。厚生科学審議会臨床研究部会で目下、審議中だ。

歌田部長は「徳洲会グループは現在、未承認・適応外薬などを用いた臨床研究法の特定臨床研究に該当する臨床研究を10件以上実施しており、今後、同法への対応は必須です」と指摘。

続けて「認定臨床研究審査委員会は、今回の認定倫理審査委員会よりも委員構成などでハードルが上がる可能性がありますが、認定倫理審査委員会の要件が議論のベースにはなっているようなので、現時点で対応可能な体制整備が行えたと考えています。国の審議の動向をふまえ、今後も適切に対応していきます」と方針を語っている。

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