徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2025年(令和7年)12月08日 月曜日 徳洲新聞 NO.1521 1面

湘南藤沢徳洲会病院
機能的神経疾患センター年間手術200件
山本センター長「多角的な情報発信と信頼の連鎖が鍵」

湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の機能的神経疾患センターが好調だ。2022年8月の設立当初、3年以内の達成を目標に掲げた「年間手術100件」を24年度にクリアし、今年度は年間200件に達する見込みだ。同センターでは徳洲会グループで唯一、機能神経外科領域の主要な3つの治療法(機能的定位脳手術)すべてを提供。山本一徹センター長はこれらを駆使し、一人ひとりの患者さんに最適な治療を推進している。

「最も強力な推進力となったのは口コミです」と山本センター長 音楽家ジストニアへのRFの術中に、ギターを弾いてもらい治療効果を確認

同センターが対象とするのは、パーキンソン病や本態性振戦、ジストニアといった機能的神経疾患。これらは脳の神経回路に異常が生じることで、体の動きに多様な症状を引き起こす疾患群だ。機能神経外科では、薬物治療では改善が難しいこれらの症状に対し、外科的なアプローチで神経回路の異常な活動を精密に遮断し、症状の改善を図る。

MRガイド下集束超音波治療(MRgFUS)は超音波を一点に集中し、脳の患部を熱凝固する“メスを使わない手術”。外科的侵襲がほとんどないのがメリットだが、現状では生涯で1回しか保険適用されない。

高周波熱凝固術(RF)は脳に細い電極を入れ、患部を熱凝固する治療法。脳深部刺激療法(DBS)は脳に電極を埋め込み、持続的に電気刺激を行う治療法だ。これらは頭蓋骨に小さな穴を開けて行う侵襲的な手術だが、脳の患部を直接焼灼、または電気刺激を与えるため、治療効果が頭蓋骨条件に依存するMRgFUSに対し、患部への処置をより確実に施せるメリットがある。また、保険適用の回数に制限はない。

これら3つの選択肢をすべてそろえ、患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な治療を提供できる施設は、全国でも希少な存在だ。

手術件数の飛躍的な増加は、地道な啓発活動からSNS戦略、最も強力な「信頼の連鎖」ともいえる口コミまで、多角的なアプローチが結実した成果だ。

その土台となったのは、山本センター長が毎月欠かさず実施しているオンライン医療講座。参加者の多くは「本当に困っておられる方、患者さんご本人やご家族の方」(山本センター長)であり、その真剣な対話を通じて築かれた信頼関係が、認知度向上の礎となった。また、SNSは専門情報だけでなく出張先の風景なども交え、親しみやすいアカウントへと成長。啓発の重要なツールとなっており、今ではInstagramを見て来院したという患者さんも増えている。

最も強力な推進力となったのは「口コミ」だ。治療によって症状が劇的に改善した患者さんが、自らの体験を伝えることで、新たな患者さんにつながる好循環が生まれている。とくに、音楽家やスポーツ選手、あるいはパーキンソン病などの患者会といった特定のコミュニティ内での情報共有は大きな効果をもつ。

メディアの力も大きい。山本センター長は昨年、MBS毎日放送(関東ではTBS)の「情熱大陸」、今年はNHK総合の「クローズアップ現代」といった全国放送のテレビ番組に出演、多くの患者さんが来院するきっかけとなった。また「『徳洲新聞』に取り上げていただいた記事を読んで来院する患者さんも多いです」と山本センター長。

長期間の研修受け入れも

一方、急増する患者需要は、手術の待機時間を生み出した。1日の手術件数を増やすには、手術器具の洗浄・滅菌の効率化が必要。そこでRFやDBSに使う「アークシステム」を追加導入することで、1日に手術を複数できる体制を確立した。

山本センター長は「手術に使用するフレーム(頭部固定装置)が1台しかない体制で、年間200件の手術をしている病院は、世界でも類を見ないと思います。現在、新たなフレームの購入を視野に入れており、実現すれば、さらに多くの手術が可能になります」と強調。この設備投資は、同センターが上げてきた実績に裏打ちされたものだ。

また、山本センター長は自らがもつ技術と哲学を次世代に継承していきたいと考えており、「できれば1日の見学ではなく、長期間の研修も受け入れていきたいと思います」と明かす。

臨床修練制度を活用し、すでに海外からの研修受け入れも開始している。同制度は、医療研修を目的として来日した外国人医師に対し、一定の医療行為が特例的に認められる制度。ただし手術は全例、山本センター長自らが執刀している。

今後は手術体制を拡充し、患者さんの待機期間を短縮すると同時に、社会への啓発活動も継続。山本センター長は「機能的神経疾患への社会的な理解はまだ不十分であり、治療法があることを知らずに、ひとりで苦しみを抱え込んでいる“潜在的な患者さん”が数多くいると思います」と警鐘を鳴らす。

ある音楽家の患者さんが、治療後に自身の病気をカミングアウトしたところ「じつは私も」と打ち明ける仲間が予想以上に多くいたという。このエピソードは、ひとりの回復が周囲に希望を与え、口コミとなっていくことの重要性を表すと同時に、いまだ疾患に対する啓発が足りていない状況を示している。

山本センター長は「一人ひとりの治療を丁寧に行っているからこそ、良い結果が生まれ、良い口コミにつながっているのだと思います。今後もその姿勢は変えずに、患者さん第一という軸がブレないよう、やっていきます」と意気込みを見せている。

PAGE TOP

PAGE TOP