徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

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Tokushukai medical group newspaper digest

2021年(令和3年)2月15日 月曜日 徳洲新聞 NO.1274 四面

読み解く・読み得〝紙上医療講演㊶
コロナ禍で便秘が助長

新型コロナの感染拡大により、私たちの日常は一変しました。感染リスク低減のため、不要不急の外出を避ける生活が長引いています。自然と運動不足になりやすく、その影響から便秘を訴える人が増えていると言われています。便秘は長期にわたりQOL(生活の質)に影響を及ぼすつらい症状で、腫瘍など病変が原因の場合もあります。茅ヶ崎徳洲会病院(神奈川県)の橋本雅彦・消化器センター長が便秘の分類や診療のポイント、解消法などを解説します。

橋本雅彦・茅ヶ崎徳洲会病院(神奈川県)消化器センター長橋本雅彦・茅ヶ崎徳洲会病院(神奈川県)消化器センター長

便秘とは一般的に①排泄(はいせつ)回数が少ない、②排泄物が滞り、たまる、③何らかの腹部症状を自覚している――などのような状態を指し、具体的には3日間以上排便がなく、不快感や苦痛を感じている状態を言います。ただし、排便の頻度や苦痛の感じ方などは個人差が大きく、各人の主観的要素に左右されるため、一律の基準で判断することは難しいのが実状です。このため、そのような目安はあるものの、医学的に統一した明確な定義はありません。医療機関を受診する際は、自覚症状があり不快感や苦痛があるかどうかを目安に考えればよいでしょう。

便秘は大きく分けて「器質性便秘」と「機能性便秘」に分類されます。治療法が異なるため、はじめに確認します。前者は腫瘍や炎症といった腸管の病変による腸の閉塞・屈曲などによる通過障害を原因とする便秘です。物理的な障害ですので、外科的切除などの治療が必要です。後者は腸の働きの低下による便の停滞が原因で、食事や生活習慣の改善、薬物治療を行います。機能性便秘は腸の蠕動(ぜんどう)運動が弱い「弛緩(しかん)性」、蠕動運動の乱れによる「痙攣(けいれん)性」、便意がうまく伝わらない「直腸性」にタイプが分かれます。

便秘でお悩みの方は、まず器質性便秘か否かの精査が必須です。器質性便秘は、生命にかかわる疾患が原因の場合もあるためです。便潜血検査では不十分で、大腸内視鏡検査が重要です。「一応は便が出ているから通過障害はない」と自己判断することは危険です。身体は適応力があり腸管が狭くなっても排便時に腸がふくらみ便通が可能になることがあるためです。

一方、腸の状態は短期的・長期的に変化しますので、機能性便秘は、ある程度時間をかけて判断します。そのうえでタイプに合わせた治療薬を用いますが、注意点があります。薬のみに依存することや、安直な薬の増量・追加・投与量の変更などは避けなければなりません。生活習慣や食生活の改善が同時に必要です。

便秘解消の一例

排便には多様な要因が複雑に関与し影響しています。年齢・性別・性格、食事内容・摂取量、水分摂取量、運動量、生活リズム、ストレス、生活環境、疾患・薬物などです。コロナ禍は便秘を発症し助長する条件がそろっていると言えます。とくに、ご高齢の方はフレイル(身体的機能や認知機能の低下)予防の観点からも、太陽光を浴び掃除や洗濯など日常生活で身体を動かすことが大切です。

最後に、家庭でできる便秘解消法をご紹介します。積極的な水分摂取、適度な運動、腹部のマッサージ、食物繊維を含む食品の摂取、乳酸菌・ビフィズス菌を含む食品の摂取、便秘薬の「センナ」や「アロエ」などの服用、市販のサプリメントや下剤の服用といった方法です。人によって効果の有無や程度は異なります。誰にもあてはまる方法はありません。試行錯誤し自分に合った方法をいくつか見つけていくことが望ましいです。

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