2020年(令和2年)10月19日 月曜日 徳洲新聞 NO.1258 一面
回復期リハビリ病棟
チーム医療で在宅復帰支援
四街道病院が市内初の開設
四街道徳洲会病院(千葉県)は回復期リハビリテーション病棟を開設した。四街道市内で初の開設だ。同病棟は脳卒中など脳血管疾患や大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)骨折など整形外科疾患の急性期治療を終えた患者さんなどに、集中的にリハビリを実施してADL(日常生活動作)の向上を図り、多職種によるチーム医療で在宅復帰を促進する役割がある。高齢者人口の増加にともないニーズが高まっている分野だ。同院は救急・急性期をはじめ回復期・慢性期までを担うケアミックス病院として地域完結型の医療を目指す。
地域完結型医療を目指す
(左から)酒井院長、荒木事務長、三浦・看護部長
同院は回復期リハビリ病棟を5階に開設した。一般病床220床のうち35床を同病棟にあてた。1階に広い総合リハビリテーション室があるが、5階にもリハビリ室を備え、階下に移動することなくリハビリに励むことができる。リハビリ初期の歩行に不安がある患者さんに優しい造りだ。5階には病院併設型の介護老人保健施設四街道徳洲苑(入所定員50人)もある。
酒井欣男院長は「当院は月間の救急搬送が250~350件で推移し、救急からの入院が多いうえに入院患者さんの高齢化も進んでいます。急性期の入院治療後、すぐにご自宅に戻ることに対しては独居や老老介護といった背景も加わり、不安を感じる患者さんやご家族が増えています」と指摘。
続けて「近隣自治体の回復期リハビリ病棟や療養病棟は受け入れの余裕がほとんどない状態が慢性化していることから、当院は急性期後のワンクッションとして、リハビリを提供し自宅や施設への移行を支援する回復期リハビリ病棟を開設しました」と狙いを明かす。
9月1日の開設後、脳血管疾患や整形外科疾患の急性期治療を終えた患者さん、術後の廃用症候群の患者さんなどが入院。
「在宅に退院できるよう多職種で毎日奮闘」と加藤・看護師長
三浦千賀子・看護部長は「市内には当院が母体の〝訪問看護ステーション(訪看ST)わらび〟。があります。在宅に介入できる訪看STとも連携し、よりスムーズな在宅移行を目指します」と抱負を語る。同病棟の加藤和代・看護師長は「多職種で協力し、在宅に退院できるよう毎日奮闘しています」とチーム一丸となった病棟運営をアピール。また、スタッフの研修で協力を得た千葉徳洲会病院と成田富里徳洲会病院に謝意を表している。
「日曜も含む毎日リハビリを提供しています。新人教育にも力を入れ、今後も患者さんをサポートしていきたい」と意気込みを見せるのはリハビリテーション科の馬場晶子主任(言語聴覚士)だ。
リハビリテーション科のスタッフ。左から2人目が馬場主任
2021年4月に同院はHCU(高度治療室)の開設を目指し、急性期機能の向上も図っていく考え。「四街道市より西側の千葉市などには大型病院が複数ありますが、東側のエリアは医療過疎地で、外房の九十九里町からも救急搬送が来ることがあります。地域の期待に応えるため、救急の受け入れは今後も尽力していきたい」と荒木弘樹事務長は力を込める。
回復期リハビリ病棟開設により、救急・急性期、回復期、慢性期(老健)、在宅(訪看ST)と診療機能が一層充実。酒井院長は「地域完結型の医療を目指します」と意気軒高だ。