2020年(令和2年)4月27日 月曜日 徳洲新聞 NO.1233 三面
DVや虐待の見落とし
橋爪・東大阪病院院長が注意喚起
新型コロナウイルス禍での自宅待機にともない、世界各国でDV(家庭内暴力)が増加傾向にある。日本では内閣府と厚生労働省が各地方自治体にDVに関する注意喚起を行った。
しかし、「まだ具体的な数字は出ていませんが、警察や児童相談所への虐待相談件数は、むしろ減少傾向にあるようです」と東大阪徳洲会病院の橋爪慶人院長。これは日本でDVや虐待が少ないという意味ではなく、「加害者がすぐ近くにいるため、相談したくてもできない状態なのだと思います。夏休みなど長期休暇でも同様の事象が起こります」(橋爪院長)。
休業・失業など将来への不安に、長期間、ほぼ家にいるストレスが加われば、DVや虐待は増加してもおかしくない。橋爪院長は「こんな時だからこそ、近くの家から物の割れる音が頻繁に聞こえたり、尋常でない泣き声が聞こえたりしていないか、気にかけることが大切です」と強調。
また医療機関も新型コロナ対応に追われ、ふだんなら気付くことができるDVや虐待のサインを見過ごしている可能性があることを指摘。「忙しいとは思いますが、来院した患者さんの体にあざやけががないか、保護者の表情や説明に違和感はないか、アンテナを張るのを忘れないでください」(同)と医療者に呼びかける。
DVや虐待は少しずつエスカレートするため、被害者は逃れるタイミングを見失うことが多い。また、外出自粛が逃げ出す際の心理的障壁になっている可能性もある。橋爪院長は「もう無理だと思う前に躊ちゅう躇ちょなく逃げてほしい。DVや虐待からの避難は不要不急の外出にはあたりません」と訴える。