徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

福島 安義(ふくしまやすよし)一般社団法人徳洲会副理事長

直言 生命 いのち だけは平等だ~

福島 安義(ふくしまやすよし)

一般社団法人徳洲会副理事長

2020年(令和2年)4月27日 月曜日 徳洲新聞 NO.1233

恐れを抱きながらも感染防御法を守り
医療者の集団として誠実に職務遂行を
新型コロナウイルス感染症患者さんのために

新型コロナウイルス感染症患者数の累計が、大型クルーズ船の感染者を含め、4月18日に1万人を超えました。7日に緊急事態宣言が出され、不要・不急の外出の自粛や、いわゆる3密(密閉空間、密集場所、密接場面)の回避が要請されてから、間もなく2週間になります。この宣言の効果の有無が明らかになるのは、宣言から2週間経過以降と言われていますので、本稿が活字になる頃には、せめて発生数がプラトー(水平状態)になっていてほしいと願っています。

未知の感染症に打ち勝つため全ブロックで検査体制構築へ

国家による宣言が出された頃から、私たち徳洲会グループの病院でも、新型コロナウイルス感染症患者さんの外来対応数や入院数が急速に増加しています。同時に院内感染や、市中感染と思われる職員の感染など憂慮すべき問題も出てきています。

グループ内の現状と今後について考えてみたいと思います。私たちのグループで、最初に新型コロナウイルス感染症に対応したのは、1月27日、体調不良を訴え、あるグループ病院のER(救急外来)を受診した患者さんでした。疑似症として徳洲会外の病院に転送、翌日のPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査で陽性が確認されました。入院例では2月14日、大型クルーズ船の乗客を受け入れたのが初めてです。外国籍の方で、陰圧個室をもつ神奈川県内の徳洲会2病院で対応しました。17日には沖縄県で初めての患者さんが入院しています。

その後、厚生労働省の要請もあり、大型クルーズ船の乗務員を、葉山ハートセンターの田中江里院長が前号の「直言」に記したように、10人受け入れました。以後、感染者の増加と相まって、各地の自治体からの受け入れ要請もあり、全国のグループ病院の入院患者数が徐々に増加しました。しかし、3月28日までは累計38人でしたが、29日以降、急速に増加。緊急事態宣言が出た4月7日には累計104人となり、18日時点の入院数は全国19施設で124人、入院累計は219人に達しています。

この間、グループでは、PCR検査が可能な病院を北海道、北関東、南関東、大阪、九州、沖縄の各ブロックに1カ所配置し、ブロック内で検査できるようにしました。目下、より短時間で検査可能な別の機器を、これらのブロック、さらには東北、関西、離島などのブロックの病院に導入、全ブロックで検査できる体制を築く予定です。

感染疑いの患者さんについては、できる限り保健所を通じた検査に委ねますが、なかなか検査してもらえないことも多々あり、また接触したグループ職員に感染がないかどうかをいち早く知るために導入しています。素早い反応が院内感染を防ぎ、また院内に感染を拡大させないために必要と考えるからです。

院内感染発生などに起因する医療崩壊を防ぐための努力を

全国の有名な大病院で院内感染が起きています。このウイルスとの闘いは簡単ではありません。どのようにすれば、このような院内感染を防げるのか――。さまざまな工夫が必要です。ひとつの方法として、新型コロナウイルス感染者の病棟を院内ではなく、独立したプレハブを建てて運用する試みもグループ内で始めています。なかなか防ぎ得ない院内感染の例として、他の疾患で入院されていた方が、感染者であったという事例が発生しています。また、前述したとおり市中感染が疑われる職員の感染例も見られます。

フランスの作家、アルベール・カミュの『ペスト』が、最近よく読まれているようです。1947年に発表された同書は、アルジェリアのオランという港町が、ペストの感染拡大阻止のために封鎖され、外界から完全に遮断された状態のなかで、医師のリウーや友人のタルーたちの姿をとおして、極限状況での人間の尊厳とは何かを考えさせられる“不条理の哲学”と言われる作品です。あらためて今、この小説が読まれているのは、現在の日本の状況が、ペストほど強烈ではないにしろ、何か似通った状態だからかもしれません。

私たちは医療者の集団です。新型コロナウイルス感染症という、まだよくわかっていない感染症に対し、恐れを抱きながらも、感染防御の方法を守り、『ペスト』の主人公たちのように、この病にかかられた方々に対し、誠実に自分たちの職務を遂行していくことが大切だと思ってやみません。

皆で頑張りましょう。

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