徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2020年(令和2年)4月27日 月曜日 徳洲新聞 NO.1233 一面

徳洲会グループの
湘南鎌倉・八尾・湘南藤沢・野崎病院
「アビガン」特定臨床研究に参画し有効性実証へ
猛威を振るう“見えない敵”への治療法確立が急務

新型コロナ対策緊急総力特集

世界各国で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症(COVID -19)。現在、有効性が確立された治療薬やワクチンはないが、既存薬のなかで効果が期待されているものが複数ある。抗インフルエンザウイルス薬である「アビガン」(一般名:ファビピラビル)が、その有力候補のひとつだ。新薬開発は長い時間を要するが、既存薬に効果があることがわかれば、よりスピーディに治療法の確立につながる。徳洲会グループでは、藤田医科大学が中心となって3月に開始したアビガンの有効性・安全性を検討する多施設共同の臨床研究(介入をともなう特定臨床研究)に、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)、八尾徳洲会総合病院(大阪府)、湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)、野崎徳洲会病院(大阪府)が参画。また徳洲会では、藤田医科大や国立国際医療研究センターが実施する観察研究にも参画、野崎病院は独自のプロトコル(実施計画書)を用いた臨床研究にも取り組む。

観察研究も複数病院で推進

新型コロナウイルス感染症への効果が期待されるアビガン(画像提供:富士フイルム)新型コロナウイルス感染症への効果が期待されるアビガン(画像提供:富士フイルム)

アビガンは抗インフルエンザウイルス薬として2014年、富士フイルム富山化学が製造販売承認を取得した錠剤タイプの医薬品。通常は国が備蓄・管理し新型インフルエンザの流行時にだけ、国が指定した医療機関に放出し医療現場で投与される薬だ。新型コロナウイルス感染症に対する投与は適応外使用にあたるが、治療目的で患者さんの希望と適応外使用に関する同意があり、医療機関ごとの倫理審査委員会で承認を得れば医師の判断で投与が可能。

遺伝子の複製に重要な役割を果たしているRNA(リボ核酸)ポリメラーゼという酵素を選択的に阻害することにより、細胞内でのウイルス増殖を抑えるのがアビガンの特徴だ。新型コロナウイルスも新型インフルエンザウイルスと同じRNAウイルスであることから効果が期待されており、実際に国内外で症状が改善したという報告もある。

徳洲会4病院が参画した臨床研究は「SARS-CoV2 感染無症状・軽症患者におけるウイルス量低減効果の検討を目的としたファビピラビルの多施設非盲検ランダム化臨床試験」。既存の医薬品を適応外使用し、介入をともなう研究であるため、臨床研究法上の特定臨床研究として実施。

徳洲会グループ共同倫理審査委員会の事務局などを担っている未来医療研究センターの歌田直人社長は「猛威を振るう新型コロナウイルスに対する有効な治療法の確立が急務であることから、4月2日付で厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部が、患者登録を迅速に行い早期に試験結果を得ることを促進するために『新型コロナウイルス感染症に対する厚生労働科学研究班等への協力依頼について』という通達を発出しました」と説明。

こうした動きに協力するために、徳洲会グループは翌3日の執行理事会で協議のうえ、湘南鎌倉病院と八尾病院、10日に湘南藤沢病院、17日に野崎病院での実施を承認した。ほかに全国の大学病院や公立病院なども加わっており、今後、徳洲会グループでは4病院以外の病院でも実施していく可能性がある。

今回の臨床研究の対象はPCR検査で新型コロナウイルスの感染が確認された無症状または軽症患者さん。10日間投与しアビガンの有効性と安全性を検討する。

アビガンが作用するメカニズムのイメージ図

具体的には①16歳以上の男女、②咽頭ぬぐい液または鼻咽頭(いんとう)ぬぐい液を検体としてRT(逆転写)- PCRで陽性を確認、③パフォーマンスステータス(PS=全身状態を表す指標)が0(日常生活を制限なく行える)または1(軽作業を行うことはできる)、④6日間の入院が可能――など条件に合致した患者さんが対象となる。

一方、PSが2(歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない)以上、重度肝機能障害の患者さんなどは対象から除外。さらに動物実験の結果からアビガンには副作用として催奇形性が認められており、ヒトでも胎児奇形や流産・死産を起こす恐れがあることから、妊婦または妊娠している可能性がある患者さんは除外される。

条件を満たした患者さんに10日間、1日2回経口投与する。経口投与が困難な患者さんの場合は簡易懸濁法(約55℃の温湯で薬を溶かし経鼻胃管で投与する方法)を行う。

参加全施設で計86人分のデータを集めることを目標としており、ウイルス消失率など評価し有効性を判断する。8月までを実施期間と定め、できるだけ早期に成果を還元していく方針だ。

野崎病院独自の臨床研究も実施

徳洲会グループでは、観察研究にも協力する方針。藤田医科大と国際医療研究センターが、それぞれ取り組んでいる研究だ。観察研究とは、通常診療として実施した治療結果を集積した介入がともなわない後ろ向き研究を言う。

観察研究ではアビガンだけでなく、新型コロナウイルスへの効果が期待されている吸入ステロイド薬のオルベスコ(一般名:シクレソニド)や抗HIV薬のカレトラ(ロピナビル・リトナビル)など幅広い薬剤を対象に、投与した薬剤、投与後の経過や臨床所見など情報を集めるのが目的。対象患者さんも軽症・無症状に限らず、中等症、重症も含む。登録期間は藤田医科大が12月までで、国際医療研究センターは21年1月まで。複数の徳洲会病院が観察研究に取り組んでいる。

野崎病院は独自のプロトコルで臨床研究を実施。新型コロナウイルスと同じベータコロナウイルス属の弱毒株(かぜの原因となるウイルス)を保菌、もしくは弱毒株の抗体価が高い患者さんの場合には、新型コロナウイルス感染症の重症化が抑制されている可能性を検討する。症例の登録期間は21年3月まで。重症化のリスクが高い人の予測などへの活用が期待される研究だ。4月上旬に開いた徳洲会グループ共同倫理審査委員会で承認、研究を開始した。

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