徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

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Tokushukai medical group newspaper digest

2019年(令和元年)9月23日 月曜日 徳洲新聞 NO.1203 二面

吹田病院 地域医療科を開設
地域包括ケア病棟オープン

吹田徳洲会病院(大阪府)は地域医療科を新たに開設するとともに、地域包括ケア病棟(50床)の運用を開始した。多職種が連携しながら患者さんの気持ちに寄り添い、退院後の生活も見据え“健康寿命”や“幸福寿命”の延伸を目指した医療の実践に注力していく考えだ。

地域包括ケア病棟のスタッフ(中央が辻部長) 地域包括ケア病棟のスタッフ(中央が辻部長)

地域包括ケア病棟では病名に関係なく、在宅復帰を目指す幅広い患者さんの入院を受け入れる。たとえば、各種手術や肺炎などの急性期治療を終え在宅復帰に向けリハビリテーションが必要、糖尿病やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)など生活習慣指導が必要、社会資源の調整がなければ在宅復帰が困難、レスパイトケア(患者さんを介護する家族の一時的休息)が必要な患者さんなどだ。

開棟したのは6月で、地域医療科が病棟運営を担う。同科の辻文生部長は4月に着任する以前、吹田市内の公立病院に勤務。呼吸器・アレルギー内科部長として、主に呼吸器疾患の診療に携わるなかで、予防医療、終末期医療、認知症ケアなどにも積極的に携わってきた。全国に先駆けて多職種連携による呼吸ケアチームを立ち上げた実績ももつ。

また、2016年に第5回日本ノルディック・ウォーク学会学術大会の大会長の経歴をもち、疾患予防・健康増進の取り組みとして、ノルディック・ウォーキング(2本のポールを手にして行う歩行)の普及にも取り組んでいる。

長年にわたって呼吸器内科医として診療を続けるなかで、高齢者人口の増加にともない慢性疾患の急増を実感。このような疾病構造の変化を受け、辻部長は主に高齢者を対象とした慢性期医療に軸足を移し、同院で臨床医としての集大成に臨んでいく考えだ。「高齢の患者さんに対しては、キュア(治療)からケア(癒やす)への転換が重要と考えます。医療・介護・福祉の各分野の連携が必要となりますが、私自身、ケアマネジャーの資格をもっており、吹田市内の行政関係者、介護事業所、病院や診療所、訪問看護師やリハビリ専門職などと、時間をかけて築いてきたネットワークがあります。これを生かして地域包括ケアのハブ(連携拠点)になりたい」(辻部長)

入院患者さんに関しては「在宅復帰するために、単に診療やリハビリを提供するだけでなく、退院してから地域とつながりをもって、幸せに在宅で生活することのお手伝いをしたい」。入院中に一人ひとりの患者さんにとって何が大切なのか、どのような生き方が幸せなのか、患者さん自身に“気付き”を得てもらいたいという。

健康寿命とともに幸福寿命の延伸を図るのが狙いで、そのきっかけづくりのための仕かけも今後導入していく計画だ。具体的には病棟内での音楽療法、アロマテラピー、ヨガ体操、マインドフルネス(心を今この瞬間の現実に向けるための瞑想など)、また院内敷地の一角に地域ボランティアの方々の尽力により設けられたオーガニックの農園で土いじりを体験する園芸療法なども想定している。

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